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『魔性の子』はどのタイミングで読むべきか?【十二国記を読む順番】

2023年11月20日

小野不由美の『魔性の子』(新潮文庫)を読みました。

読むのは7年ぶり。これで3回目です。もっとちびちび読みすすめる予定でしたが、読み始めてみるとやはり引き込まれ、後半の200ページは一気読み。

この本、十二国記シリーズの外伝です。

発売順でいえばこれがシリーズのトップバッター。外伝なのにいちばん最初というめずらしい存在です。

しかし作中の時系列でみるとこの『魔性の子』、十二国記シリーズ第6巻『黄昏の岸 暁の天』と同時刻のお話なのです。第1巻や第2巻より後の物語なんですね。

シリーズ第2巻『風の海 迷宮の岸』は本作に登場する高里の過去(いわゆる神隠し中)の出来事を扱い、第6巻『黄昏の岸 暁の天』は本作と同時刻の十二国世界(高里救出作戦)を扱っています。

 

ここで問題になってくるのが、本作をどのタイミングで読めばいいのかということ。

とくに関連性の高い第2巻『風の海 迷宮の岸』と第6巻『黄昏の岸 暁の天』、そしてこの『魔性の子』、この3冊をどういう順番で読むかが悩みどころになります。

 

時系列順に読む?

僕は3回とも時系列順に読みました。

第2巻『風の海 迷宮の岸』→『魔性の子』→第6巻『黄昏の岸 暁の天』という順番です。これなら物語をスムーズに追えます。

しかし問題もあるんですね。この順番ですと、『魔性の子』をフルに楽しめなくなる面があるのです。

なぜか?

『魔性の子』は本編とは作風の異なる、ホラー作品でもあります。それ自体が独立して、ホラーとしての名作でもある。

ところが先に十二国記を読んでしまうと、そのホラー要素が怖くなくなります。種がわかってしまっているからです。

したがって、本書を独立した作品として、ホラーとして楽しみたい人は、やはり最初に読むべきかもしれないと思えてくるわけです。

 

発売順に読む?

実際、発売順に読む人は少なくないかもしれません。

最近、本屋にいくと必ず十二国記がプッシュされていますが、この『魔性の子』をトップバッター扱いしていますよね。

ああいうふうに並べられている以上、初めてシリーズに入門する人は、おそらくこれから買うんじゃないでしょうか?

しかしこれにも問題はあって、『魔性の子』はあくまで外伝のため、十二国記シリーズの要素が薄いのです。

十二国記シリーズがどんな感じのお話かというのが、ほとんど伝わらないんですね。要するに、入門書としてぜんぜん機能しません。

ちょこっとだけ十二国記の要素は出てきますが、ほぼ現実の日本が舞台ですから。

ここで一番最悪なのは、本書だけを読んで十二国記から離れてしまうこと。「なんか思ってたのと違うな」といって。

これがなんとしても防ぐべきパターンなのです。

そしてこの危険性がある以上、発売順に読むことをおすすめするのは怖いんですよね。

 

で、どういう順番で読めばいい?

結局どういう順番で読めばいいのか?

「十二国記を読破したい、絶対に最後まで読む」。こう心に決めている人は、発売順に読むのがいいと思います。

『魔性の子』をいちばん最初に読み、その作風をフルに楽しむ。それから十二国記の本編へと進んでいくわけですね。

 

「十二国記気になってるし、とりあえず一冊だけ読んでみようかな」。こういう人は時系列順に読むのがおすすめです。

第1巻『月の影 影の海』でシリーズに入門し、『魔性の子』は『風の海 迷宮の岸』の前か後に読むのです。

おそらくこれがベストな選択だと思います。

文学の本

Posted by chaco