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西田幾多郎に入門するならこの本【解説書から伝記まで】

2024年7月15日まとめ記事

日本の哲学史上、最初にして最強の哲学者、西田幾多郎(1870-1945)。

日本の哲学といえば西洋哲学の本を読んでそれをネタに評論するのがほとんど(それはそれでおもしろいのですが)。

オリジナルの思想はなかなかないです。あったとしてもそれは文学や芸術であり、哲学という普遍的な形式にまで高められることがめったにない。

しかし西田は最初期の段階で日本の哲学をつくりあげてしまいました。禅仏教をベースにした思想と、西洋哲学の融合。

西田に興味が出てきたら、どこから入ればいいのか?

以下、おすすめの本を紹介します。

『善の研究』の解説記事はnoteに書きました↓

伝記ならこれ 上田閑照『西田幾多郎とは誰か』

西田の伝記なら上田閑照『西田幾多郎とは誰か』(岩波現代文庫)が最高傑作ではないかと思います。

文学的な趣に富んだエモーショナルな作品。西田がどういう生涯を送ったのかをただ情報として伝えるというレベルを超え、これ自体がひとつの作品として強力な魅力を放っています。

西田とか哲学とかに興味がないひとが読んでも、伝記ジャンルの傑作として楽しめるでしょう。

 

入門書ならこれ 櫻井歓『西田幾多郎 分断された世界を乗り越える』

入門レベルの1冊目にはこれがおすすめ。

講談社現代新書から出ている「今を生きる思想」シリーズのひとつ。100ページちょいのコンパクトな内容で、思想のポイントをざっくり解説してくれる初心者のためのシリーズ。

これだけで終わらすのは心もとないですが、色々と読みすすめていくにあたっての最初の1冊としてみればこれが最適でしょう。

 

解説書ならこれ 小坂国継『西田幾多郎の思想』

もう少しくわしい解説書なら小坂国継『西田幾多郎の思想』(講談社学術文庫)がおすすめ。

前期から後期までを完全にカバーしています。純粋経験、自覚、場所、行為的直観、作られたものから作るものへ、絶対矛盾的自己同一などのキーワードを明晰に解説。ウィリアム・ジェイムズやヘーゲルとの関係にも章を割いています。

対象となる西田哲学が異常にむずかしいので本書も楽に読めるものではないですが、文章やロジックは明晰で、その意味ではわかりやすい本です。

 

『善の研究』は講談社学術文庫バージョンがおすすめ

西田の著作のうちもっとも有名なのがデビュー作の『善の研究』。現在までに100万冊以上が売れているらしい。

色んなバージョンが出ています。どれを読むべきか?

僕が圧倒的におすすめするのは講談社学術文庫バージョンです。

小坂国継が注釈と解説を書いているのですが、これがすこぶる有益。内容的に助けられるのもありますし、注釈のたびに文章がある程度の長さで区切られるおかげで、通読するのが楽なんですよね。

中期以降の哲学は岩波文庫から出ている『西田幾多郎哲学論文集』(前3巻)を読むのがおすすめです。

ただし常軌を逸した難しさです。西田の著作のなかでは実は『善の研究』がいちばんわかりやすいです。彼の文章は後期に進むにつれてどんどん難しくなっていきます。

 

菅原潤『京都学派』

京都大学に赴任して以降の西田はその異様な人格力とある種のリーダーシップでもって、かずかずの才能を自分のまわりに引きつけました。

そうして形成された超ハイレベルの学者集団を「京都学派」と呼びます。おそらく鎌倉仏教とならび日本思想史上では最高到達点。

本書はその京都学派を解説してくれる貴重な本。その成立、全盛期、GHQによる公職追放、戦後における遺産継続などなど。

西田本人についての話はあまり出てきませんが、せっかく西田に興味が湧いたのならおさえておきたい良書です。

 

鈴木大拙『大乗仏教概論』

鈴木大拙は海外に禅(ZEN)を広めた人物。世界でもっとも影響力のある日本の知識人ともいわれます。

実は高校時代からの西田の友人。思想的な影響関係も強く、お互いにアイデアを取り入れあっていました。せっかくなので大拙も読むのがおすすめ。

大拙の作品のうちでとくに重要なものはデビュー作の『大乗仏教概論』と晩年の『日本的霊性』です。

『大乗仏教概論』は大乗仏教の概論としては批判の多い失敗作。しかし大拙の思想を理解するうえでは重要な名作です。西田哲学と呼応する内容。

『日本的霊性』は第5章をカットしていない角川ソフィア文庫バージョンで読むのがベストです。

 

汎神論を理解するならこれ 上野修『スピノザの世界』

西田には汎神論的な発想をする傾向が強いです。世界のすべてを神ととらえ、個々の事象をその神の一部として考えるスタイルですね。

西洋哲学において汎神論的な発想をする代表者はスピノザ。『善の研究』にもスピノザの名前はなんども出てきます。

スピノザの入門書を読んで汎神論を理解すると、西田哲学の理解も容易になるのです。ヘーゲルと西田はスピノザモデルを応用することで楽に理解できます。逆にデカルトとかカントのモデルを当てはめようとすると意味不明になります。

スピノザの入門書でいちばんわかりやすいのは上野修『スピノザの世界』(講談社現代新書)だと思います。

 

以上、西田幾多郎入門に使えるおすすめ本の紹介でした。

なお『善の研究』の解説はnoteに書きました↓