自己啓発書ならこれを読んでおけ【おすすめの名著11冊】
自己啓発書はマイナスのイメージをもたれていることも多くて、なんかフワフワした非現実的なものみたいに思う人もいると思います。
しかし自己啓発書といってもさまざまで、一流の名著はふわふわした無力なものどころか、むしろ力そのものです。いってみれば胃薬や頭痛薬に近いレベル。精神の筋トレともいえます。
以下、そのような自己啓発系の名著からおすすめ本を紹介します。
- 1. 自己啓発御三家の一角 デール・カーネギー『道は開ける』
- 2. ルイス・コヴィ『7つの習慣』
- 3. ジェームズ・クリアー『複利で伸びる1つの習慣』
- 4. 世界中で実践される瞑想法 ヘイル・ドゥオスキン『セドナメソッド』
- 5. 生きがい論の超古典 神谷美恵子『生きがいについて』
- 6. 斎藤学『自分のために生きていけるということ』
- 7. セルフアファーメーションの王 ルイーズ・ヘイ『ライフヒーリング』
- 8. スーザン・ケイン『内向的人間のすごい力』
- 9. スーザン・ジェファーズ『とにかくやってみよう』
- 10. 下園壮太『うつからの脱出 プチ認知療法で自信回復作戦』
- 11. 本格的な認知行動療法入門にはこれ デヴィッド・バーンズ『いやな気分よさようなら』
自己啓発御三家の一角 デール・カーネギー『道は開ける』
世界には自己啓発の御三家と呼ばれる存在がいます。
・デール・カーネギー(『人を動かす』『道は開ける』など)
・ノーマン・ヴィンセント・ピール(『積極的考え方の力』など)
・ナポレオン・ヒル(『思考は現実化する』など)
もっともおすすめなのがカーネギー。とくに『道は開ける』という本。『人を動かす』はコミュニケーションに特化した内容ですが、『道は開ける』はもっと広く人生の困難を乗り越える方法を探究しています。
あれこれの偉人が登場して伝記的読み物としても面白い。フランクで読みやすいのに薄っぺらくならず、むしろどこか高尚な雰囲気も漂わせるという絶妙のバランスがあります。
ちなみにノーマン・ヴィンセント・ピールはもっと高尚な感じです。聖書からの引用をバンバン行います。逆にナポレオン・ヒルは、いかにこの社会で成功者となるかみたいな実利的な内容です。
ルイス・コヴィ『7つの習慣』
現代でもっとも影響力のある本はたぶんこれ。ビジネス書にカテゴライズされることもありますが、だれが読んでも得るものの大きい普遍的な内容になっています。
外的な成功に先立つ内的な人格を重視する古典的なアプローチに回帰した本。そして長期的な人格形成には「7つの習慣」を身につけることが欠かせない、という話の流れになります。
7つの習慣は以下の通り。
・主体性を発揮する
・目的をもって始める
・重要事項を優先する
・WinWinを考える
・理解してから理解される
・相乗効果を発揮する
・刃を研ぐ
前半が私的成功に、後半が公的成功に必要な能力になっています。私的(内面的)な成功が実現したあとで初めて外的な成功が得られるという本書のコアメッセージが、この構成に反映しています。
ジェームズ・クリアー『複利で伸びる1つの習慣』
習慣をテーマにした本といえばこれも良書です。
小さな習慣が長期的には驚くべき効果を生み出すことを解説。さらに新しい習慣を身につけるコツと望ましくない習慣を断ち切るコツを伝授してくれます。
・すでに毎日行っている習慣に新しい習慣をくっつける
・場所を変える
・ひとつの場所ごとにひとつの行動
・自制心を発揮するのではなく自制心がいらない環境に変える
・新しい習慣は2分以内にできるものから始める
などなど。この本もビジネス書にカテゴライズされがちですが、たとえば受験生が読んでも大きな効用を期待できると思います。
世界中で実践される瞑想法 ヘイル・ドゥオスキン『セドナメソッド』
一種の瞑想トレーニング本です。世界中の経営者に愛用されていることで有名になりました。普通に瞑想するよりはるかに簡単。そしてたしかに効果があります。僕は虫歯ができるたびにこの本を読み返し、歯医者の予約と治療に備えます。
手順は基本的に次の通り。
・いま感じている感情(たとえば怒りや恐怖)を受け入れる
・その感情を手放す
具体的には次の4つの質問を自分に対して行います。
・この感情を受け入れる(「許す」とか「認める」でもOK)ことができますか?
・この感情を手放すことができますか?
・この感情を手放す意思はありますか?
・いつ、この感情を手放しますか?
質問にイエスと答えることができなくても効果は発動します。とくに強力なのがひとつめの質問で、自分のなかにその感情が存在することを認識し、その存在を許すだけで、とてつもない威力があります。
関連:セドナメソッドを習得するならこの本【基本の効果から応用テクニックまで】
生きがい論の超古典 神谷美恵子『生きがいについて』
神谷美恵子は日本でもっとも有名な精神医学者のひとり。『生きがいについて』は神谷が世に放った名エッセイのなかでも最高傑作に挙げられる作品です。
ハンセン病患者に奉仕するなかで、神谷は生きがいについての思索を深めます。すべてを失ったように見える患者が、それでもなお日常に生きがいを見出し生き生きと暮らしている。一方で、病気であるか健康であるかにかかわらず、虚無と退屈のなかに日々を暮らす人も大勢います。
いったい何が両者を分かつのか?自らの体験に加え、文学者や哲学者の知見を動員しつつ探究される哲学的エッセイ。
平穏無事なくらしにめぐまれている者にとっては思い浮かべることさえむつかしいかも知れないが、世のなかには、毎朝目がさめるとその目ざめるということがおそろしくてたまらないひとがあちこちにいる。ああ今日もまた一日を生きて行かなければならないのだという考えに打ちのめされ、起き出す力も出て来ないひとたちである。耐えがたい苦しみや悲しみ、身の切られるような孤独とさびしさ、はてしもない虚無と倦怠。そうしたもののなかで、どうして生きて行かなければならないのだろうか、なんのために、と彼らはいくたびも自問せずにはいられない。たとえば治りにくい病気にかかっているひと、最愛の者をうしなったひと、自分のすべてを賭けた仕事や理想に挫折したひと、罪を犯した自分をもてあましているひと、ひとり人生の裏通りを歩いているようなひとなど。
いったい私たちの毎日の生活を生きるかいあるように感じさせているものは何であろうか。ひとたび生きがいをうしなったら、どんなふうにしてまた新しい生きがいを見いだすのだろうか。(神谷美恵子『生きがいについて』)
斎藤学『自分のために生きていけるということ』
著者は精神科医にして依存症研究の第一人者。本書は依存症患者たちのエピソードを踏まえつつ自己肯定について語った本です。
人は自分の欲望を見失うと、寂しさと退屈に取り込まれ、それを紛らわせるように嗜癖(アルコール依存、薬物依存、共依存など)に落ち込んでいきます。
自分の欲望を取り戻し、それを肯定すること。それは同時にパワーゲームから降りることを意味します。
現代社会に暮らしていればほとんどの人が依存症気味になり、パワーゲームに容易に取り込まれていきます。したがって本書の価値は狭い分野に限定されません。本書は大きな気づきをもたらしてくれるでしょう。
セルフアファーメーションの王 ルイーズ・ヘイ『ライフヒーリング』
セルフアファーメーション本の定番です。日本ではなぜか知名度がないですが、世界で5,000万部を売り上げているとんでもない本。
自己肯定感を育むための理論やトレーニングが次々と解説されていきます。鏡のなかの自分に向かって「あなたを愛しています」と繰り返す、「私は自分を受け入れます」と1日あたり300回唱えるなど。効果の実証された力技が多し。
終盤には身体の病気や不調に対して精神的なアプローチをするための方法も掲載されています。
関連:自己肯定感を高めるには ルイーズ・ヘイ『ライフヒーリング』
スーザン・ケイン『内向的人間のすごい力』
社交性が重要視される現代社会において、内向的人間がいかに生きていったらいいかを語る本。
冗長なところもある本ですが(とくに前半)、後半の処世術は非常に有益です。
・仮面をつける技術を身に着けよう
・仮面をつけるのは自分にとって価値のある仕事のときだけでいい
・仮面装備中もリフレッシュは必要(トイレにこもるなど)
などなど、重要なアドバイスがてんこ盛りになっています。内向的な子どもを育てる親や教師側に向けてのアドバイスも記載あり。
関連:内向的人間に必要なのは演技力 スーザン・ケイン『Quiet』
スーザン・ジェファーズ『とにかくやってみよう』
原書のタイトルはFeel the Fear and Do It Anyway。行動の重要さを説いた名著です。
「怖くてしかたないからやめておこう」とか「この恐怖が鎮まってからトライしよう」といったパターンに陥るのはよくあることですよね。しかし著者によると正しい態度は「恐怖を感じつつも行動に踏み切る」ことだといいます。
・成長するかぎり恐怖はなくならない
・恐怖から抜け出す唯一の方法はそれを行動にうつすこと
・恐怖を感じていない人は存在しない
・恐怖から逃走して無力感をかかえて生きるより恐怖に直面するほうが楽
特別なことは書かれていないのですが、不思議と読者にはたらきかけるパワーをもった本です。
下園壮太『うつからの脱出 プチ認知療法で自信回復作戦』
認知行動療法の超入門書。
認知行動療法は、薬物療法とならび、うつ病の克服のためにもっとも効果があるとされている治療法のひとつ。うつの根幹に認知の歪みがあると見なすところが特徴で、この歪んだ認知を適切なものに置きかえることでうつが緩和していきます。
とはいえ言うほど簡単じゃないのがうつ退治。疲労しきって脳も身体もバタンキューしているところに、「歪んだ認知を紙に書き出して、それを論理的に適切な認知に置きかえろ」とか言われても、無理ゲーがすぎますよね。
ということで本書の出番なわけです。敷居を極限まで下げたプチ認知療法で、具合が悪いときにも実践できるトレーニングがつまっています。
本格的な認知行動療法入門にはこれ デヴィッド・バーンズ『いやな気分よさようなら』
本格的な認知行動療法の本を読みたいのならデヴィッド・バーンズの『いやな気分よさようなら』が鉄板中の鉄板です。
認知行動療法の基本とその効果の解説からはじまって、具体的な応用例がこれでもかとばかりに解説されます。
・自己肯定感を育てる方法
・罪悪感を解消する方法
・怒りを解消する方法
・相手の批判をうまくかわす方法
・先延ばしのクセをなくす方法
などなど。文章はフランクで、読んでるだけでも楽しいです。
以上、自己啓発系のおすすめ本を紹介しました。新しい名著に出会ったらまた更新していきます。