宗教学の必読書はこれ【基本書4冊とおすすめ入門書】

宗教を学問するのが、宗教学。宗教そのものとは違い、宗教の内部にとどまる神学とも違う。あくまで近代の科学的アプローチで宗教を研究するいとなみです。

宗教そのものの代わりにはなりませんが、宗教への理解を深めるには、宗教学の知見は大いに役立ちます。

宗教学には、それぞれのジャンルを確立した基本書があります。以下、それらの古典とおすすめ入門書を紹介したいと思います。

マックス・ミュラー『宗教学概論』

マックス・ミュラーは古代インド宗教の専門家。古代インドの言語はもちろんのこと、世界中の古代言語に通じていた天才です。この人が宗教学の大ボスです。

宗教学はそのルーツからして比較宗教学でした。色々な宗教を比較して、似ている部分と違っている部分を特定し、それぞれに共通する宗教的コアをあぶり出す、というふうに。これはミュラーの手法そのものです。

あのエリアーデ(『世界宗教史』などで有名)もこの系譜に属する宗教学者です。

 

タイラー『原始文化』

次はタイラーの『原始文化』。この人の特徴は人類学的なアプローチにあります。

世界中に今なお残っている未開民族の文化を調査し、彼らの生活を観察することで、宗教の本質に迫ろうとする行き方です。

フレイザーの『金枝篇』もこれと同様のジャンルに属します。

 

ロバートソン・スミス『セム族の宗教』

ロバートソン・スミスの研究は、宗教社会学のルーツです。

宗教の社会性に着目し、宗教の儀礼や儀式が集団の存続のためにいかなる機能を果たしているのかを研究します。

デュルケムの『宗教生活の原初形態』もこのジャンル。この後もウェーバーやルックマンを始めとして、社会学は重要な宗教研究を積み重ねていくことになります。

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スターバック『宗教心理学』

上述の研究が社会とか民族とかのマクロな視点から宗教にアプローチしていたのに対して、スターバックの研究は個人の心理に着目します。

宗教者はどのような意識を持っているのか。回心を体験した人びとはどのような意識の変容に見舞われたのか。インタビューやアンケートを通じて、これを明らかにしようと試みます。

ウィリアム・ジェイムズの『宗教的経験の諸相』もこのジャンルに属す有名な研究です。ウィトゲンシュタインの愛読書でもあった本。個人的にもジェイムズのこの本は一押し。

 

脇本平也『宗教学入門』

入門書にはこれがおすすめ。講談社学術文庫から出ており、高い評価を受けています。

宗教の構成要素を教義、儀礼、教団、体験の4つにわけ、それぞれを深堀りしていきます。宗教と呪術(および科学)の違いなども語られていて興味深い。宗教学といいう学問の歴史についてもざっと解説されています。

また宗教と宗教学の違いについて、序言で次のように明言されているのが好印象。

「宗教学入門」に対して、もし信仰の導きとか人生の指針とかいうものを直接お求めになるならば、きっと大きな期待はずれになるだろうと思います。宗教学という学問は、信仰を深めたり基礎づけたり、あるいは人格を宗教的に鍛えたりすることを、直接の目的とするものではないからです。(脇本平也『宗教学入門』)

たしかに宗教と宗教学ってちょうど音楽と音楽評論ぐらい違いますからね。これが最初に明言されていることで、著者への信頼が高まります。

なお、宗教とかスピリチュアル分野そのものの良書についてはこの記事↑を参考にしてみてください。