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文系でも読んでおきたい理数系の名著はこれ【おすすめ12冊】

2024年1月26日まとめ記事

「自然科学のことが知りたいな。でも数学は全部忘れてしまったし、今さら復習する気力なんてないよ」

こういう人はけっこういると思います。

僕もそのなかの一人です。

しかし、実はわれわれのような文系の人間でも楽しめる理数系の良書はたくさんあります。僕は今までに何冊もそういう本に出会いました。

この記事では、僕が読んだことのある本から特におすすめの良書を紹介します。

科学論ならこれ 中谷宇吉郎『科学の方法』

岩波新書が誇る名著のひとつ。物理学者の中谷宇吉郎が、科学の本質を語ります。

自然科学というものは、自然のすべてを知っている、あるいは知るべき学問ではない。自然現象の中から、科学が取り扱いうる面だけを抜き出して、その面に当てはめるべき学問である。(中谷宇吉郎『科学の方法』)

さらに測定について、物質とエネルギーの概念について、科学と数学の関係について、実験と理論の関係について、わかりやすく解説してくれます。

話の内容は高度ですが、著者は随筆家としても一流の人なので、文章はとても読みやすいです。

本書を最初に読んでおくと科学リテラシーが一気に高まります。

 

科学史ならこれ ビル・ブライソン『人類が知っていることすべての短い歴史』

宇宙の誕生から人類の出現にいたるまでの宇宙の歴史を物語る本。科学史の本としても読むことができ、サイエンスの全体をざっと見渡せます

著者はイギリスの紀行記作家で、ユーモラスな文体を武器に向こうでベストセラーを連発しています。

そういう著者の書いた本ですから、本書は自然科学の本にもかかわらず読みやすく、異常に面白い。かといって浅くていい加減な本かというとそんなこともなく、読者は科学的な基礎知識を幅広く入手することができるのです。

語られる分野は物理学から天文学、化学、地質学、海洋学、生物学、考古学と多岐にわたります。

関連:科学史入門にはこれ『人類が知っていることすべての短い歴史』【書評】

 

『相対性理論を楽しむ本 よくわかるアインシュタインの不思議な世界』

アインシュタインの相対性理論を解説した本は星の数ほどありますが、僕が知るなかでもっともわかりやすい本がこれ。

監修者の佐藤勝彦はインフレーション理論を提唱したひとりとして知られ、宇宙論の世界的権威です。だから内容の信頼性についても問題なし。

これと続編の『量子論を楽しむ本』を読んでおくだけで、現代物理学の本を楽しむための基礎教養が身につきます

 

素粒子物理学入門にはこれ『量子論を楽しむ本』

『相対性理論を楽しむ本』の姉妹編。こちらも佐藤勝彦が監修しています。

はっきりいって相対性理論編よりはだいぶ難しいです。

ただそれは本の書き方が悪いとかじゃなく、そもそも量子力学が相対性理論に比べてはるかにむずかしいからなんですね。

とはいえ量子論の入門書のなかではもっともわかりやすい本の一つだと思います。要点がわかりやすくまとまっていて、後から読み返すと「こんな高度なことまで語っていたんだな」と気づいて驚くこともあります。

 

ループ量子重力理論ならこれ カルロ・ロヴェッリ『すごい物理学講義』

一流の物理学者がみずから素人に語りかける本はいろいろありますが、おそらく本書がナンバーワンの出来だと思います。

著者のロヴェッリはイタリアの物理学者。量子重力理論のうち、超ひも理論と双璧をなすループ理論の第一人者として知られます。

古代ギリシアのデモクリトスから始まり、最終的にはまだ答えの出ていない最先端の情報理論にまで話が及びます。

ものすごい博識で、哲学的なセンスをも合わせ持ち、さらに文学的な例示をそこらじゅうに散りばめます。読み物としての面白さが異常。

上述した相対性理論と量子力学の入門書を読んでおけば、本書のような本にもついていくことができます。

関連:ループ量子重力理論に入門『すごい物理学講義』【書評】

 

超ひも理論ならこれ ブライアン・グリーン『宇宙を織りなすもの』

現代宇宙論の主役といえば超ひも理論(超弦理論ともいう)。

この分野の科学者にして一般読者にわかりやすい啓蒙書も書いてくれるのがブライアン・グリーンです。

彼の著作のうちもっともオススメなのが『宇宙を織りなすもの』。時間と空間の正体をテーマに、ガリレオやニュートンの時代から現代までの宇宙物理学を追いかけ、読者を超ひも理論の最前線まで連れて行きます。

上下巻でやたら分厚いですが、それはわかりやすさの証。説明が具体的で丁寧だからこそボリュームが膨らんでいます。現代アメリカにありがちな、量を稼ぐためだけに無駄に具体的なエピソードをてんこ盛りにしている本とは一線を画す構成。

ブライアン・グリーンといえばデビュー作の『エレガントな宇宙』のほうが有名だと思います。しかし、あっちは難解なので注意してください。『エレガントな宇宙』から読み始めて、「うわ難しすぎ…グリーンの本は合わないな」と、そこで切ってしまう読者は少なくないはず(僕もそうなりかけました)。

そうならないためにも、『宇宙を織りなすもの』から読むことをおすすめします。

関連:時間と空間の物理学史 ブライアン・グリーン『宇宙を織りなすもの』

 

古生物学ならこれ ピーター・ブラネン『第6の大絶滅は起こるのか』

地球上の生物は過去、5度の大絶滅を経験してきました。

それらはなぜ引き起こされたのか?そして現代の環境変化とどのくらい類似点があるのか?

ユーモアを交えながらわかりやすく解説してくれる良書がピーター・ブラネン『第6の大絶滅は起こるのか』。古生物学、地質学、地球物理学に興味のある人に超おすすめ。環境問題とのリンクも期待できます。

扱われるのは以下の5つの大絶滅(プラス現在進行中の6度目の大絶滅)です。

・オルドビス紀末の大絶滅(4億4500万年前)
・デボン紀後期の大絶滅(3億7400万年前、3億5900万年前)
・ペルム紀末の大絶滅(2億5200万年前)
・三畳紀末の大絶滅(2億100万年前)
・白亜紀末の大絶滅(6600万年前)
・更新世末の大絶滅(5万年前~近い将来)

科学ジャーナリストが一般向けに書いた本なのでとても読みやすいです。ユーモアも多用されてビル・ブライソンの前掲書にちょっと似てる。現代アメリカのノンフィクションに多い冗長さもほとんど見られない。日本語訳もきれいです。

テーマがテーマだけに文学的な風情も終始ただよっています。

人間が地質学的規模でこの惑星をひどく混乱させているという考えは、人間中心の思い上がりにすぎないのではないかという感情が、とくに科学に詳しくない人々のあいだには存在する。だがそのような感情が生まれるのは、生命の歴史を見誤っているからだ。地質学的な過去に目を向ければ、一見すると些細な改変がこの惑星の化学作用を再編し、徹底的な局面の変化をもたらしてきた。人間にはきっと、カンブリア爆発の濾過摂食動物と同じくらいの重要性はあるだろう。(ピーター・ブラネン『第6の大絶滅は起こるのか』西田美緒子訳)

 

天才物理学者の自伝 ハイゼンベルク『部分と全体』

不確定性原理で知られる20世紀ドイツの物理学者ハイゼンベルクの自伝的作品。プラトンにならった対話篇で構成されています。

まず登場人物の豪華さが尋常じゃない。アインシュタイン、ボーア、シュレーディンガー、パウリ、ラザフォード、オイラーなどなど。この人たちが深遠な対話を繰り広げます(肩の力の抜けた小ネタもそこかしこに登場)。

対話のテーマは量子力学はもちろんのこと、政治、宗教、カント哲学、原子力と多岐にわたります。この人たち科学の専門家である前に哲学者なんだなと思い知る。

人類史上でも最高峰といわれる戦前期ドイツの学術戦闘力が炸裂する名著の一つです。

内容的に相当な歯ごたえがあり、スラスラ読める本ではないですが、苦労してでも読破する価値のある古典ですね。

 

数学史ならこれ エリック・テンプル・ベル『数学をつくった人びと』

数学史の名著です。

ベルは数学者兼SF作家。フェルマーの最終定理を証明したアンドリュー・ワイルズが、ベルの著作(『最後の問題』)で初めてその問題に出会ったのは有名な話です。

文庫本にして3冊とかなりの分量をもっています。扱われる数学者はだいたい以下の通り。

・アルキメデス
・デカルト
・フェルマー
・パスカル
・ニュートン
・ライプニッツ
・ベルヌーイ
・オイラー
・ラグランジュ
・ラプラス
・フーリエ
・ガウス
・コーシー
・ロバチェフスキー
・アーベル
・ヤコービ
・ハミルトン
・ガロア
・ワイエルシュトラス
・リーマン
・デデキント
・ポアンカレ
・カントール

数式のたぐいはほとんど出てきません。一応数学の中身も紹介されますが、さらっとした記述で逆にわかりづらいので、そこは流し読みでいいと思います。あくまでも数学者たちの伝記パートがメイン。

ぜんぶ読む必要はなく、興味をそそられた章を読むだけでも面白く、勉強になります。

 

トポロジー入門にはこれ『100年の難問はなぜ解けたのか』

トポロジーという数学分野があります。

幾何学の一種なのですが、従来の幾何学が堅い物質からなっていたのに対して、トポロジーは柔らかく変形可能なゴムからなります。

このトポロジーの創始者がフランスの天才数学者ポアンカレ。そして彼が後世に残した超難問がポアンカレ予想です。

このポアンカレ予想が21世紀初頭に解決されてしまいます。

成し遂げたのはロシアの天才ペレリマン。しかし彼はフィールズ賞の受け取りを拒否し、人里離れた森のなかへと姿を消します。

いったいペレリマンとは何者なのか?

トポロジーやポアンカレ予想の分野の1冊目におすすめな数学ドキュメンタリー。元々はテレビ番組用の内容なので、一般向けにわかりやすく解説してくれます。

 

人工知能入門にはこれ 新井紀子『AI vs 教科書が読めない子どもたち』

人工知能の入門におすすめの本がこれ。

著者は人工知能プロジェクト「ロボットは東大に入れるか」のディレクタとしても知られる数理論理学者です。

現在の人工知能技術の延長線上ではシンギュラリティなど起こり得ない。そう著者は断言します。

論理、確率、統計、この3種類の言葉しか使えない現在の人工知能では、人間の思考を再現することはできないと。

AIがとくに苦手とするのが意味の読解です。したがってAIに負けない人材を育てるのなら読解力がキーになる。

しかし、現在の子どもを見ると読解力は背筋が凍るほど低下していて…

ここから教育論や社会問題の領域にまで足を踏み入れていきます。数学、哲学、教育問題にまでつなげるすさまじい名著。

 

戸田山和久『科学哲学の冒険』

最後に科学哲学の分野からも一冊。戸田山和久の『科学哲学の冒険』です。

先生と生徒ふたりのフランクな対話形式で構成されていて、とても読みやすい本です。科学哲学の入門書として最高。

ただし著者の立場は科学的実在論と呼ばれる思想で、これは世間の常識に近い考え方とはいえ科学哲学の世界ではマイノリティですから、そこは注意しておく必要があります。

とはいえ反実在論や社会構成主義といった主流の立場もわかりやすく解説されているので、本書でだいたいの全体像はつかめます。

関連:科学哲学の入門にはこれ『科学哲学の冒険』【書評】

 

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以上、文系でも楽しめる理数系の良書を紹介しました。

新たに名著を見つけたら、その都度アプデしていこうと思います。