速読は熟読する本を選ぶために行う 佐藤優『読書の技法』【要約】

2021年12月24日

元外交官にして作家の佐藤優。

彼は月に300冊の本を読むといいます。

いったいどうやって、その異常な読書量を達成しているのでしょうか?

その奥義をわかりやすく解説してくれるのがこの『読書の技法』。

もう何遍も読んだ本ですが、今回また読み直しました。定期的に再読するに値する名著です。

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本書は3部構成になっています。

1. 本はどう読むか
2. 何を読めばいいか
3. 本はいつ、どこで読むか

第1部の「本はどう読むか」は多読、熟読、速読の技法が順番に解説され、最後に読書ノートの作り方が説明されています。

第2部の「何を読めばいいか」では高校生用の教科書と参考書を使って、基礎知識の穴を埋める方法が解説されます。さらに小説とマンガの読み方についてもサラッと記述あり。

第3部の「本はいつ、どこで読むか」は読書を効率的かつ効果的に継続していくためのヒント集になっています。

以下、重要なパートをピックアップしてみましょう。

速読は熟読するにたる本を選別するために行う

佐藤優は読書を3つのスタイルにわけます。

・熟読
・速読
・超速読

一見すると速読や多読を扱った本に見えますが、実は本書のメインテーマは熟読です。

なぜなら熟読で基礎知識を固めた分野でしか速読はできないからですね。

そして超速読をするのは速読する本を選ぶためであり、速読するのは熟読するに値する本を選ぶためであると。

読書の始点にも終点にも熟読があることがわかるかと思います。

佐藤優は月に300冊とか500冊とか読む(目を通す)らしい。それでも熟読できる本は月に7冊から10冊だといいます。熟読できる本の数には限りがあるんですね。だから熟読するにたる本を選ぶのが重要になってくるというわけです。

以下、それぞれの読書モードの技法をみていきましょう。

 

熟読の技法

まず熟読の解説から始まります。

良書を熟読し、現実で使える知識にまで高めることが読書のコア。そもそも熟読で基礎知識をつけなければ速読もできないと佐藤はいいます。したがって何よりも熟読が大事。

しかし、熟読すべき本をどうやって決めればいいのでしょうか?

これはその分野に詳しい人に聞くのが一番だとされます。ただし大学教授は意外と使えないらしいです(自説に有利な本しかすすめないから)。むしろ大型書店の書店員に聞くのがおすすめとのこと。トップクラスの書店員になると、並みの大学教授を上回る知識をもっているらしい。

 

熟読する基本書は3冊か5冊を読むべきだといいます。意見がバラバラだったら多数決で多い方の意見を採用できるからですね。

あまり上級の知識を獲得しようと欲張らないのがコツ。最新の学説を追いかける必要もないとも。

では次に熟読の具体的な方法を見ていきましょう。

 

熟読ステップ1 まずは本の真ん中を読む

本の真ん中はいちばん弱い部分だそうです。

逆に考えると、そこがもっともマシな本は他書より力が強いので、その本から熟読すべきということになります。

 

熟読ステップ2 シャーペン、消しゴム、ノートを容易

佐藤優いわく、「汚く読む」ことが読書の秘訣です。ということで筆記用具を用意しましょう。

ということは図書館の本は使えませんね。本は「迷ったら買え」と佐藤は言っています。

 

熟読ステップ3 シャーペンで印をつけながら通読する

さて第一読のスタートです。

重要そうな箇所にマークをしながら、普通に読んでいきます。わからないところにはクエスチョンマークを(これ意外と効く)。

 

熟読ステップ4 本に囲みを作る

通読しおわったらステップ4に突入です。ここから2周目。

読書ノートを作るために、本の重要箇所を囲っていきます。

 

熟読ステップ5 囲みの部分をノートに写す

ステップ4で囲っておいた箇所をノートに写していきます。

読書ノートを作るコツについてはくわしく後述されます。

 

熟読ステップ6 結論部分を3回読んだら3周目に突入

最後にもう一度だけ通読します。これで熟読の作業は完了です。

他の基本書についても同じ作業を繰り返します。

ただし基礎知識がどんどんついていくので、後になるほど読書は楽になり、かかる時間も少なくなっていきます。

 

速読の技法

熟読に続いて、今度は速読の技法が解説されていきます。

佐藤優によると、速読には超速読と普通の速読があります。

・超速読…5分以内で1冊に目を通す
・普通の速読…30分で1冊を読む

注意しなくてはいけないのは、熟読によって基礎知識をつけた分野でしか、速読や超速読はできないということ。まったく知らない分野で速読しようとしても時間の無駄なので気をつけましょう。

 

5分で1冊の超速読

超速読の目的は2つ。

・時間をかけてしっかり読むに値する本かどうかを見極める
・ここを読めばいいというパートを探し出す

この超速読で「こりゃとてつもない名著だ」とピンと来た本は熟読の対象に回し、そこまで確信のもてないものはとりあえず速読の対象に回します。

「こりゃ大したことないな」と感じた本は超速読だけで終わりにしましょう。

 

30分で1冊の普通の速読

超速読で本の仕分けが終わったら、今度は普通の速読をしていきます。

佐藤優は速読のコツと称して以下の6つのポイントを挙げています。

・速読の技法1 完璧主義を捨てて目的意識を明確に
・速読の技法2 雑誌は筆者で読むかどうかを決める
・速読の技法3 定規を当てながら1ページ15秒で読む
・速読の技法4 重要箇所にはマークをつけ、ポストイットを貼っておく
・速読の技法5 重要箇所を1ページ15秒で速読、残りのページを超速読
・速読の技法6 大まかに理解したらインデックスをつけて整理

コツは、内容をすべて理解しようとしないこと

「自分はどんな情報がほしくてこの本を読むのか」よいう目的をはっきりさせ、その目的に合致する部分を拾っていきます。

 

読書ノートの作り方

ここまで読んで、「読書ノートとかめんどくさい。そんなの書くヒマがあったら新しい本を読んだほうが有意義そう」と思った方は多いはず。

僕も以前はそう思っていました。

しかし佐藤は本書の第4章で次のように反論します。

ゆるい形で本を読む習慣が身についてしまうと、いくら本を読んで知識を取り入れても、頭の中に定着していかない。本を読んで、「あっ、自分も知っている」という感覚は味わえても、「では、どう知っているのか」と突っ込んだ質問を改めてされると答えられないのだ。それは、取り込んだ知識が自分の中で定着していない証拠である。
10冊の本を読み飛ばして不正確な知識をなんとなく身につけるより、1冊の本を読み込み、正確な知識を身につけたほうが、将来的に応用が利く。
(佐藤優『読書の技法』)

 

ただし完璧主義に陥らないことが大事だともいわれます。読書ノートを作るときは、次のポイントに気をつけましょう。

・時間をかけすぎない(30分程度を限度に)
・重要そうなところに加えて、現時点ではわからないところも抜書き
・かならずコメントをつける

コメントは最初のうちは「賛成」とか「意味不明」とかでも十分な模様。慣れてくると意見が書けるようになってきます。

かならずしもノートである必要はなく、たとえばブログを作ってそこにアウトプットしてもいいでしょう。

 

高校生用の教科書と参考書で基礎知識を埋める

本書で繰り返し強調されるのは基礎知識の重要さ。これが欠けていると実力が伸びないし、速読ができるようにもなりません。

では基礎知識はどうやって身につければいいのか?

本書の第5章において、佐藤優は高校生の教科書や参考書を活用することをおすすめしています。そしてセンター試験で80点を取れれば、その分野の基礎知識は十分だと。

本書ではここの解説に100ページも費やしています。メインパートといってもいいかも。教科書ブーム(とくに歴史系)が起きたのはこの本の影響か?

Left Caption
ただ個人的には、本書がおすすめしている学校の教科書よりも、実況中継シリーズなどのわかりやすい参考書にしたほうがいいと思います。教科書は無味乾燥すぎて飽きるので。

また本書には言及がありませんが、佐藤優はよくスタディサプリも社会人にすすめています。

スタサプは一流の塾講師たちによる授業が月額約1000円で見放題になるサービス。受験生だけでなく社会人の利用者も多いです。

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やる気の湧いてくる名著

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以上、佐藤優の『読書の技法』を紹介しました。

内容的にも色々と参考になる名著ですが、本書はそれだけでなく、モチベーターとしての力も強いです。要するに読者をやる気にさせるんですね。これが佐藤優がもつ稀有な才能のひとつ。

読書や学習のスランプ時には、本書を読み返すのをおすすめします。

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