翻訳の勉強におすすめの本4選【翻訳術からトライアル攻略まで】
学校英語をやみくもに頑張るだけでは、翻訳者にはなれません。
翻訳は、学校でやらされる「英文和訳」や「和文英訳」とはまったく異なるスキルを要求されるからです。
それはどのようなスキルなのか?どうやったら習得できるのか?
一番いいのはプロから直々に指導してもらうことですが、それはなかなか気楽にはできません。
ということで、一流の翻訳者が書いたテキストを頼っていきます。
さいわい現在の日本では良質な翻訳トレーニング本がたくさん出ていますから、修行のための教材に困ることはありません。
翻訳のスキルを伸ばしたいという人のために、僕が使ったことのあるテキストのなかから特におすすめのものを紹介します。
安西徹雄『英文翻訳術』
王道中の王道テキスト。たぶん翻訳術の本のなかでいちばん有名なものです。著者は英文学の教授で、シェイクスピア研究の第一人者でもあります。
英文を引用してきて、著者がそれを訳す。そして訳出に使ったテクニックをことこまかに解説する、という流れ。
英文のレベルはかなり高いですが、解説はむちゃくちゃわかりやすいですよ。実践的な翻訳テクニックがバンバン紹介されていきます。
この本を最低でも2周することをおすすめします。翻訳の基礎力が身につき、学校英語の英文和訳の段階から卒業できるでしょう。
中村保男『英和翻訳表現辞典』
次はこれ。文字通り、820ページの分量を誇る辞典です。しかしただの英和辞典ではなく、一流の翻訳者である著者が長年かけて編み出した翻訳表現を紹介していくという、おそろしいテキスト。
「こんな訳しかたするのかよ」という発見が無数にあります。正解の訳語を見つけるための本ではなく、いわば翻訳脳を磨き上げるための本ですね。
それぞれの英単語につき、かならず例文を引っ張ってくる構成もグッド。例文のなかで単語とその訳出を理解できます。
また、日本語の勉強になる点もポイントです。
翻訳は外国語以上に母国語の能力が重要だといわれますが、日本語力を磨くにはすぐれた日本語を読むしかありません。
本書における著者の訳文はすばらしく、すぐれた日本語のモデルとして機能します。したがってこの辞典を読んでいけば、おのずと日本語力も上がるのです。
英語力や翻訳力のみならず、日本語力もレベルアップできる名著。
近藤哲史『トライアル現場主義!売れる翻訳者へのショートカット』
これは一風変わったテキスト。トライアルに焦点を当てた本です。
トライアルというのは、企業が翻訳者に課す実力判定テストのこと。翻訳の仕事を受注するときには、ほぼ確実にトアイアルを受けることになります。
クラウドワーキングの形態で働く場合でも、最初に安めの報酬でテストを課されると思います。
本書はそのトライアルを課す側の人間がトライアル攻略について解説するという、面白い本。
実際の課題文とその訳例の添削を通じて、どのような文章がトライアルに合格できるのか、ことこまかに解説されます。
この本に書かれたテクニックを知っておくだけで、だいぶ結果が違ってきますよ。
トライアルを課す側は「頼む受かってくれ!」と思いながらテストを出しているのだ、という記述があまりに印象的。これを知っているだけでもだいぶ気が楽になります。
実川元子『翻訳というおしごと』
こちらは翻訳者としていかに生きていくかを指南する本。翻訳業界の動向を知るうえでも役に立つ本です。
出版翻訳、実務翻訳、映像翻訳のそれぞれについて現状と今後の見通しが語られます。
そのうえで、フリーランスとしていかに働いていくのがベストなのか解説されます。
英語勉強法についてもさらっと記述あり。
Amazonプライムの会員になれば無料で読めます(無料体験中に読み切ればOK)。Primeリーディングでダウンロード可能です。
この手の本としては、従来なら山岡洋一の『翻訳とは何か 職業としての翻訳』が名著でしたが、新しい動向まで捉えておくためにはこの『翻訳というおしごと』がオススメです。
独学には翻訳者ネットワーク「アメリア」もおすすめ
翻訳の勉強を始めたばかりの段階では、アメリアに登録するのもおすすめです。
アメリアは翻訳会社フェローアカデミーを母体とする翻訳者ネットワーク。
毎月テキストが送られてきて、課題文を提出すれば添削も受けられます。よい成績を出してクラウン会員になれば仕事を獲得することも可能。
初学者の人が学習ペースをつかむのに最適なサービスですね。
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アメリアについては以下の記事でもくわしく解説しているので、参考にしてみてください。
以上、翻訳トレーニングにおすすめの参考書4冊と、翻訳者ネットワークのアメリアについての紹介でした。