学習者目線のSLA『英語学習のメカニズム』【書評】

2020年6月24日

外国語学習において科学的に正しいアプローチはあるのか?

それを探求する研究分野を第二言語習得(SLA)と呼びます。

SLAには色々な解説書が出ていますが、アカデミックな本が多いのが特徴。もっとこう、学習者の目線に立ったSLAテキストはないのか?

その需要に応えてくれるのが廣森友人『英語学習のメカニズム』(大修館書店)です。

読みやすいかというと、正直あんまり読みやすくない。やっぱりノリが堅いです。いかにも「科学」とか「学術」みたいな感じ。

書店に平積みされているような英語学習本みたいなノリで読むのは厳しいですね。

でもSLAテキストのなかではとっつきやすいと思います。すべてのトピックを学習者目線に引き寄せて解説しているので、興味をもちやすいですしね。

 

内容を大まかにわけると次のようになります。

・効果的なインプットとは?
・効果的なアウトプットとは?
・動機づけ
・学習方法を考える
・学習スタイルを考える

 

本書の前に読んだ『外国語学習の科学』(岩波新書)がインプットの重要性をプッシュしていたので、SLA=インプット重視なのかと思っていました。

しかし、本書を読むとそうでもない感じ。バランス良く色々な学習法が解説されています。

学習者の個性と多様性にどう対応するかを試行錯誤している点も本書の特徴。最後の「学習スタイル」の章では、それがメインに扱われます。

内容的に『外国語学習の科学』とかぶる部分もありますが、両方とも読んでおいて損はないでしょう。

 

本書の長所のひとつは文献案内。

各章の終わりにオススメ図書が紹介されています。和書だけでなく、洋書も。これがすこぶる有益。読んでみたいSLA関連本が何冊も増えましたね。

本書を軸にして、様々な研究成果へと芋づる式にたどりつくことができます。この点でも初心者にオススメのSLAテキストといえます。

 

入門には『外国語学習の科学 第二言語習得論とはあ何か』

上でも触れた『外国語学習の科学 第二言語習得論とはあ何か』。岩波新書から出ている本で、一冊目に読むならこっちのほうがわかりやすいですね。入手が容易ですし。

実際、廣森友人の『英語学習のメカニズム』の文献案内でもこの新書が入門書として紹介されています。

英語学習のヒントを得たいだけなら、重要箇所をひろい読みするだけでいいかと思います。

第6章の「効果的な外国語学習法」を読むだけでも得るものは多いでしょう。

 

大量のインプットがいちばん大事。これが本書のコアメッセージになっています。

アウトプットは補助にすぎないとのこと。

とにかく大量の英文を読み、聴く。これが根底になくては始まらないということです。

インプットの重要性では、すべての研究者の意見が一致している模様。一方、アウトプットの必要性については意見がばらばらとのこと。

インプット、インプット、とにかくインプット。やっぱりそうなのかという思いはありますね。

語学の達人ってほぼ確実に多読、音読、例文暗唱をすすめてきますから。

ただ、科学的アプローチがこの方向性を裏付けたということに、けっこうなインパクトを感じます。

英語学習

Posted by chaco