哲学史の隠れた名著『西洋古代・中世哲学史』【書評】

2020年10月24日

古代から中世にかけての西洋哲学史を、おそろしい密度と簡潔さでまとめあげた良書。

クラウス・リーゼンフーバーの『西洋古代・中世哲学史』(平凡社ライブラリー)です。

長いこと積ん読されていましたが、ラッセルのHistory of Western Philosophyの再読に合わせる形で読破。

中級者むけの哲学史テキストですね。

著者のクラウス・リーゼンフーバーはドイツのフランクフルト生まれ。奥付けには上智大学の教授と書かれています。

執筆協力者として訳者の名前も挙がっていますね(おそらく著者の教え子か)。訳者がいると知って安心しましたよ。

本文はあまりに見事な日本語で書かれていて、いくらなんでもドイツ人がここまで日本語を使いこなすのはありえないだろうと思っていたので。

 

タイトルにあるように、本書は西洋の古代と中世の哲学史を扱っています。

ソクラテス以前の哲学から始まり、ソクラテス、プラトン、アリストテレス。

それからローマ時代のストア派、新プラトン主義。

後半は中世のキリスト教哲学に突入。アウグスティヌスに始まり、トマス・アクィナスなどのスコラ哲学、さらにはマイスター・エックハルトらの神秘主義まで。

著者リーゼンフーバーの専門は中世思想です。それが反映し、本書は中世哲学史の記述において、類書には見られない豊かさを提供していますね。

 

記述は明晰で、おそろしいほど簡潔にまとまっています。

あまりにも簡潔で密度が高いため、初心者が一冊目に読むのは厳しいと思う。

すでにある程度の知識がある人向けの、中級者テキストですね。知識の整理が猛烈に進むでしょう。

 

ちなみに中世だけにターゲットを絞った姉妹編も出ています。

タイトルは『中世思想史』。こちらも平凡社ライブラリーからの発売。

ターゲットが狭まっているわりに、ページ数は本書よりも多い模様。

リチャード・ルーベンスタインの『中世の覚醒』(ちくま学芸文庫)と合わせて、これもそのうち読むかもしれません。

哲学の本

Posted by chaco