英語で『聖書』を読む【多読初心者におすすめの洋書】
世界一売れた本といえばなんでしょうか?
答えは聖書です。ユダヤ教やキリスト教の聖典ですね。日本でもホテルに泊まるとよく部屋の机とかに置いてあります。
そして聖書には、もちろん英語訳バージョンがあります。色んなバージョンが出ていますね。たとえばこれ↓
タイトルはHoly Bible。現代英語に訳された聖書で、前半が旧約聖書、後半が新約聖書になっています。
この現代英語訳聖書を、多読初心者におすすめします。
なぜ聖書をおすすめするのか?その理由は2つ。
①文章が格段に読みやすいから
②英語圏の教養が身につくから
以下、もう少しくわしく解説します。
ちなみに聖書はアプリも出ています。非常に強力なアプリなので、電子書籍に抵抗のないひとは試してみるといいでしょう。
現代英語訳聖書は文章が易しい
まず文章の読みやすさについてですが、現代の英語訳聖書はとても平易な文章に訳されています。誰にでも読めるようにとの配慮ですかね。
たぶん日本の高校生でも読めるんじゃないかと思う。ひょっとすると英語が得意な中学生でも読めるかも?
これが聖書をおすすめする理由の第一です。多読を始めたばかりの頃というのは、洋書に慣れていないこともあり、なかなか自分のレベルに合った本が見つからないんですよね。聖書はここをクリアしてくれます。
ただし注意点もあって、かならず現代英語訳で読んでください。昔の英訳版は、いま読むと難しいですから。
たとえば英語訳聖書といえば17世紀のものが有名です。イングランドの王様ジェームズが命令して訳させたバージョンですね。これがシェイクスピア作品と並び、現代英語の礎になっていることは有名。
しかしこれを読んでも、言い回しが古くてまず理解できません。ブランドに釣られてこういう無駄にレベルの高いものを読まないようにしてください。
聖書を読むときは、かならず現代英語訳で読むようにします。
現代英語バージョンはContemporary English Version、約してCEVとか呼ばれます。
ちなみにジェームズ王バージョンはこれ↓
英語圏の教養が身につく
多読テキストとして聖書をおすすめする2つ目の理由は、世界の基礎的な教養がみにつくからです。
聖書の内容は、英語圏の人たちのバックボーンになっています。彼ら彼女らは無意識のうちに聖書的な教養を吸収して育ってきているんですね。
また、現代の英語にも聖書由来の表現が山ほどあります。
したがって、英語圏の人々を理解しようとしたら、聖書の知識は欠かせないわけです。
聖書を読んでおくことで、英語圏の人々のベースにあるものを共有できる。これが聖書を読むことのメリットの一つです。
聖書を読むコツ
この聖書ですが、読み方にコツがあります。大切なのは、通読しようとしないこと。
最初から順番に最後まで読み通そうとすると、ほぼすべての人間が挫折します。ボリュームが1,000ページを軽く超え、内容的にきわめて退屈な文書も少なくないですから。
そこで、読みやすく重要な文章から読んでいくのが大切になってきます。
具体的にいうと、まず旧約聖書のいちばん最初に収録されている「創世記」を読みます。
次にモーセが主人公の「出エジプト記」を読む。ここまでは順番通りですね。
しかしこの次に順番通り「レビ記」や「民数記」に進んでは駄目です。これだとほぼ確実に嫌になります。レビ記・民数記の壁にぶち当たり、心が折れること必定。
したがって「出エジプト記」の次は「ヨブ記」を読みましょう。「ヨブ記」は最高峰の世界文学の一つでもありますから、興味深く読めます。なぜ正しく生きてきた私が苦しまなくてはならないのか、的な内容です。
それから「コヘレトの言葉」も読んでおきます。こちらはペルシアの影響が色濃い、哲学的な詩です。太陽のもとでは新しいものなど何もなく、すべては虚しい、みたいな内容。これも間違いなく興味深く読めるでしょう。
ここまで終わったらもう旧約聖書は後にし、新約聖書に進みます。
そして新約聖書の四福音書を読んでいきます。マタイ、マルコ、ルカ、ヨハネの福音書ですね。英語的にいうとマシュー、マーク、ルーク、ジョンですが。
重複する内容なので、だるいと感じたら最古のマルコ福音書と最新のヨハネ福音書だけでもいいです。
以上に挙げた文章だけでも、300ページほどになります。そこそこのボリュームの洋書を1冊読破するのと変わらないですね。
相当な知識と読解力が身につくことでしょう。
さいごに
以上、英語の多読学習者向けに、聖書を紹介しました。かんたんに内容をまとめておきます。
聖書をおすすめする理由はふたつ。
・文章が易しい
・英語圏の基礎教養が身につく
聖書を読むうえでの注意点はふたつ。
・現代英語訳で読む
・ぜんぶ読もうとしない
洋書を読みはじめた初期の段階で挑戦することをおすすめします。
その他のおすすめ洋書は以下の記事を参考にしてください。初級、中級、上級とあります。