洋書を250冊読んだ僕がおすすめする名作8選【上級者向け】

2021年1月29日ディケンズ

初級編と中級編に続き、上級者向けの洋書を紹介していきます。

このレベルになると多読の一環としてガンガン読んでいくことは難しいと思いますね。

精読のテキストとして使うか、先に日本語バージョンを読んでおくか、どちらかにするのがいいです。

まあ文章が難しくても、内容に興味をもてれば楽しく読めるんですけどね。結局はそこがいちばん重要だと思います。

初級編と中級編の記事はこちら↓

初心者編よりもっと簡単な洋書が読みたいという人には、Leveled ReadersやGraded Readersといった簡約バージョンをおすすめします。

詳しくは以下の記事を参考にしてください。

The Lord of the Rings(指輪物語)

まずはトールキンの指輪物語シリーズ。

ファンタジーそのものを代表する作品です。ファンタジーとは指輪物語のことであり、指輪物語こそがファンタジーです。この作品に近ければ近いほど、それは純ファンタジーに近いことを意味します。

日本語バージョンでは膨大な巻数になっていますが、オリジナルは上中下の3巻構成。

文章はむずかしいです。古風かつ高邁な文体で、ここにもトールキンのこだわりが凝縮されていますね。

ファンタジーの有名どころを難しい順に並べると、指輪物語>ゲド戦記>バーティミアス>ハリーポッター>ナルニアみたいな感じになります。

ちなみにゲド戦記の原書はEarthseaと呼ばれますが、これも上級者向けです。

 

A Short History of Nearly Everything(『人類が知っていることすべての短い歴史』)

次はビル・ブライソンのA Short History of Nearly Everything(邦題は『人類が知っていることすべての短い歴史』)。この人はイギリスの紀行記作家で、出す本がことごとくベストセラーになる売れっ子です。

しかし本書のテーマは紀行ではなく、自然科学。宇宙の始まりから人類の誕生にいたるまでの歴史を、科学の発展や科学者のエピソードを軸に語りきります。終始ユーモアを炸裂させる独自の文章が最高。

ただし残念なのが、英文の難解さ。サイエンスの専門用語が頻出しまくるのが読みにくさの一因ではありますが、それ以前に文章が難しいです。

中級編の記事でロヴェッリの『すごい物理学講義』を挙げましたが、実はあっちのほうが読みやすいです。内容的にはどう考えてもあっちのほうが高度で難解ですけどね。

これはやはり紀行記のベストセラー作家だからでしょうね。科学者ならこんな難しい文章にはならなかったと思う。このへん日本とは逆で、英語圏では専門的な文章のほうが易しく、文学的な度合いが高まるほど文章が難しくなります。

 

Pride and Prejudice(高慢と偏見)

世界最高の女流作家ジェイン・オースティンの代表作です。

恋愛小説の王ともいえる存在ですが、なにがすごいって恋愛にあまり興味がない人間(僕のような)が読んでも最高に楽しめること。単純に読み物としての面白さが異次元なのですね。

文章は難しいです。こういう古典をよむときは、先に日本語バージョンを読んでおくのがコツ。

映画バージョンを見ておくのでもいいですね。「高慢と偏見」は映画も人気ですので。

そうやって先におおまかなあらすじを把握しておくだけでも、だいぶ読むのが楽になります。

僕はオースティンの6大小説のうち『説得』と『ノーサンガー・アビー』と『分別と多感』は原書でいきなり読みましたが、無謀だったと言わざるをえないですね。

まあ楽しめはしますが、難しすぎる洋書を無理して読むのは英語学習の観点からするとあまり効果がないです。

 

David Copperfield(デイヴィッド・コパフィールド)

イギリス文学を代表する文豪チャールズ・ディケンズの代表作。喜怒哀楽のすべてが詰め込まれた、自伝的小説です。ディケンズは日本でいうと夏目漱石のような存在ですかね。

この作家の特徴のひとつとして、ユーモアがあるんですね。英国人らしいユーモアの達人で、これが抜群に笑える。

しかし残念なのは、それを日本語に移し替えることが極端に難しいところ。ですから日本語訳で読むとなかなか真髄を味わえないのです。

したがって原書で読むことに非常に大きな意味のある作家だといえるでしょう。

といっても文章が難しいので、そう簡単には読めません。僕は先に岩波文庫の日本語訳で読んでいたのでスイスイいけましたが(日本語訳を読むならこの石塚裕子訳がいい)。最初から原書を読んだら、半端なく大変だと思います。

この作品にも映画があります。注目すべきことに、後にハリーポッター役を務めることになるダニエル・ラドクリフが主人公デイヴィッドを演じています。なんか納得。

 

Moby Dick(白鯨)

オースティン、ディケンズと英文学の古典が続いたので、アメリカ文学からも一つ挙げておきます。ハーマン・メルヴィルMoby Dick(『白鯨』)です。

アメリカ文学最大の存在といわれる作品ですね。白鯨へのリベンジを誓う船長の船に乗り込み、世界中の海を旅して回る冒険小説です。

僕はいきなり原書で読もうとしたのですが、序盤の数十ページで挫折しました。あわてて岩波文庫の日本語訳を読み、それからまた原書に挑戦。今度はなんとか読了できましたが、それでも難解なパートはだいぶスルーしています。

後で知ったところでは、アメリカ人でもこの本を全部読んだことのある人はほとんどいないらしい。それほど難解な代物だというわけです。でも名作であることは確か。

アメリカ文学ならホーソーンの『緋文字』もいいですね。あれも間違いなく上級編です。メルヴィルはホーソーンに心酔していたそうです。

 

A Course in Miracles(奇跡の講座)

ニューエイジのバイブルとされる本。エックハルト・トールやルイーズ・ヘイといった名だたる人物がこの本にちょくちょく言及していて、興味を覚えたので買ってみました。

日本では『奇跡講座』という怪しげなタイトルのもと、上中下の3巻構成で発売されています。

原書では1巻にすべてまとまっている上、値段もだいぶ安いんですね。だから原書を買ったのですが、よせばよかったかもしれないですね。

文章があまりにも難しいのです。哲学書を思わせる文体で、高度な内容がぶわーっと書いてある。これを読破するのは最上級レベルの難易度だと思います。

 

The History of Western Philosophy(西洋哲学史)

20世紀最高の知性ともいわれるバートランド・ラッセルが、一般読者むけに書き下ろした哲学の歴史。

数々の若者を哲学の道へといざなってきた名著です。ラッセルはこの本でノーベル文学賞を受賞していますね。

文章自体はそこまで難しくないかも。ただ内容はかなりの歯ごたえなので、上級者編に入れました。といっても哲学の本にしては読みやすく、ほとんどエッセイのような趣です。

ラッセルはたいへんな美文の書き手としても有名ですね。昔の英語のテストではよくラッセルの文章から出題されたそうです。

ついでにいっておくと、哲学系ではレイ・モンクのWittgenstein Duty(『ウィトゲンシュタイン・天才の責務』)もおすすめ。

20世紀を代表する天才哲学者ルートヴィヒ・ウィトゲンシュタインの伝記です。彼はラッセルの弟子でもありました。

 

Diplomacy(外交)

ニクソン大統領のもとで国務長官もつとめた、ヘンリー・キッシンジャーの代表作。国際政治の分野を代表する名著です。

ドイツ30年戦争から記述が始まり、ナポレオン戦争、第一次世界大戦、第二次世界大戦、冷戦と、外交を主軸に国際政治の歴史が物語られます。

人物にフォーカスを当てた語り口が魅力。内容は本格的ですが、読み物として抜群に面白い。国際政治というフィールドでこれだけ面白い本を書ける人はめずらしいと思う。日本なら岡義武、海外ならキッシンジャーですね。

文章は難しいです。しかも古めかしい単語がたくさん登場する。よく知らない単語だなと思って辞書を引いてみると、「古い」とかいうマークがついていたりします。

キッシンジャーはドイツ語圏からの亡命者なんですよね。それがこの文体に影響しているのかもしれません。

キッシンジャーは2014年にWorld Orderという本も出しています。内容は本書とかぶる部分もありつつ、より現代的な話題を扱っています。

900ページ以上もあるDiplomacyに比べるとだいぶコンパクトな作りなので、入門編としていいかもしれません。