西洋哲学の祖はソクラテスかピタゴラスか

2020年10月24日

ソクラテス

ふつう西洋哲学の祖といえばソクラテスの名が挙がります。ソクラテスに始まり、プラトンがそれを継承し、アリストテレスが広域化させたと。

一方で、ピタゴラスこそが西洋哲学の祖なのだという意見もある。ピタゴラスは宗教と数学を融合させ、その後の西洋的思惟の原型を作ったからです。

そしてプラトンがそれを継承し、後にプラトニズムと呼ばれる絶大な影響を振るうことになった。

ソクラテスとピタゴラス、いったいどちらが西洋哲学の祖なのでしょうか?

 

ピタゴラスという人物

ピタゴラスといえば、現代では数学者として有名ですね。小学校で習うピタゴラスの定理はだれでも知っているでしょう。

しかしピタゴラスは単なる数学者ではありませんでした。実はピタゴラス教団と呼ばれる宗教組織のボスでもあった。

教団は厳格な規律によって支配され、集団が共同生活を営んでいました。また輪廻転生の思想を有していたことも特徴です。これらの非ギリシア的な特徴は、ピタゴラスがエジプトから持ち込んだものに他なりません。

そしてここが重要なのですが、ピタゴラスは数学と宗教を融合させました。いやむしろピタゴラスのなかでは数学と宗教ははじめから一体だったのかもしれない。

ここに西洋哲学思惟パターンの原型が誕生します。

 

西洋哲学の誕生

西洋哲学の特徴はなんでしょうか?色々あるでしょうけれども、いちばんのコアは真理を時間の外に置くことでしょうね。そしてその真理を捉えるのは、感覚ではなく理性であるとする。これが西洋的思惟パターンの特色です。

バートランド・ラッセルが指摘していることですが、この特色は数学的ですね。

数学的な真理は時間のなかには存在しません。地上のどこを探しても、完璧な円や三角形は存在しない。感覚が捉える円や三角形はつねに歪んでいる。数学的真理はただ地上を超えた世界に、時間の彼方に存在する。

そして時間の外にある真理とそれを捉える理性こそが高級なのであり、地上世界とそれに適応した感性は劣ったものだとされる。

この数学的な真理観が哲学的認識に投影されたもの、それが西洋哲学にほかなりません。

 

この思惟パターンを最初に生み出した人物こそがピタゴラスなのですね。数学と宗教を組み合わせることで、理性・論理と神学・形而上学がブレンドする西洋哲学の原型を作り上げたというわけです。

ピタゴラスは「世界は数でできている」と言いました。彼にとって宇宙の真理と数学は一体なのであり、数学的理性こそがその真理をとらえます。

そして、この思惟パターンを受け継いだのがプラトンでした。

 

ピタゴラスの弟子プラトン

プラトンというと、ふつうソクラテスの弟子とされます。それは事実なのですが、その思惟パターンに関して言えば、プラトンはソクラテス的でもなんでもありません。

プラトン特有の思惟パターン、それはピタゴラスを模倣したものにほかならない。時間の外にある真理、数学的認識への傾倒、感性の軽視、理性と宗教的領域の独特の融合。プラトニズムと言われる思惟形式のほとんどすべてが、ピタゴラス由来です。

ホワイトヘッドが言うように、「西洋哲学とはプラトンへの長い脚注」にすぎません。そしてニーチェが指摘したように、「キリスト教とは大衆向けのプラトニズム」である。

ということは、西洋哲学とキリスト教が主軸をなす西洋世界の始原には、黒幕ピタゴラスが存在することになります。

 

ソクラテスとは何者か?

西洋哲学いやそれどころか西洋文明の黒幕はピタゴラスだったのだという論調になってきましたが、それではソクラテスとは何者なのでしょうか?

そして西洋哲学の原点にソクラテスが置かれることは、いったい何を意味するのか?

思うに、西洋哲学の歴史は、ソクラテスの存在を抑圧してきたのだと思います。それもソクラテスをタブーにすることで抑圧したのではなく、ソクラテスをプラトンの師にすることでその本質を抑圧した。

紙幅が尽きてきたのでこの辺にしておきますが、ソクラテスという存在には、ピタゴラスと並ぶ巨大な謎が秘められているように思います。

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Posted by chaco