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FF16がもう少しで神ゲーの名作だった件【良い点&微妙な点を評価】

2024年7月15日ゲーム

2023年6月に発売された、ファイナルファンタジー16番目のナンバリング作品。

作ってるのは第三開発(FF7とか10は第一開発)。

FF14やドラクエビルダーズもそうですが、第三開発といえば少年漫画のような熱い作風が特徴。

FF16も見た目は地味でダークですが、きっと熱いシナリオと演出の良作を出してくれるはずだと予想してたんですよね(鬱ゲーなら低評価しようと思ってた)。結果、思った通りの作風が出てきました。

ゲームとしてはFF7RやFF13に近い作り。探索要素は薄く、むしろ戦闘とムービーメインで進むタイプのRPGです。でもあそこまで狭くはない。フィールド自体はFF12のような構造です。

世界観、キャラはFFタクティクス寄りか。ストーリーはFF14ほどではありませんがちゃんとフックがあって面白い。

戦闘のアクション周りはアクションRPG史上でも上位レベルの面白さ。演出は他の追随を許さない。

最高傑作候補の神ゲーとまでは思いませんが、そう主張するひとがいるのも理解はできる。尋常じゃないパワーを秘めた作品です。FF9みたいな感じで名作として名を残すと予想。

以下、くわしくレビューしていきたいと思います。また最後にネタバレありでエンディングについて解説します。

FF16の良かったところ

まずはとくに良かった点について。

・ストーリーが面白い
・キャラが魅力的
・音楽が神
・戦闘アクションが面白い
・モブハントが面白い

ストーリーが面白い

16を制作しているのは14の蒼天チーム。

号泣必死のキャラ&シナリオゲー14漆黒&暁月とは違い、世界観重視でどっしり展開する作風が彼らの持ち味。

だから16もメインストーリーは地味なものになるかとやや懸念してました。

しかし蓋を開けてみるとかなりフックは強いです。

ところどころで匂わせや超展開を仕込んだりしてユーザーを引っ張ります。続きが気になるように配慮されているし、プレイしてて引き込まれる。非常に楽しくワクワクさせてもらいました。

ただしFF14漆黒&暁月やFF7,FF10のような頂点クラスのストーリーゲーを期待されると厳しい。ああいう感じではなく、あくまでも王道です。

 

世界観設定に関してはやっぱりこっちが本領だなと感じる出来。

「アクティブタイムロア」と呼ばれるシステムがそれを補強します。ムービー中であろうとタッチパッド長押しでキャラの背景や世界観を確認できる作り。なんかFFタクティクスやりたくなってくる。

サブクエストも物語や世界観を補強する重要な役割を与えられています。ストーリーに浸りたいひとはサブクエストも絶対やるべき。

 

キャラが魅力的

本作はFF7,10みたいなわかりやすいキャラゲーではありません。

でもキャラに存在感がないかというと、まったくその逆。メインキャラはもちろんのこと、脇役たちも物語を進めるほどにキャラが立ち上がってきます。

最初に登場したときは「これといった特徴もなさそうなモブキャラが出てきたな」と感じるんですが、ストーリーやサブクエなど進めるほどに奥行きが出てきます。このキャラこんなにメインにガンガン絡んでくるのかよ!?と驚くこともしばしば。

そして次第にみんなが一体化していく過程を追体験することで、プレイヤーは胸が熱くなってしまうのです。いつのまにかどのキャラにも愛着が湧いてます。

登場人物への理解を深めるためにも、サブクエストはなるべくやりましょう。特に後半のサブクエはスルー不可避にしたほうがいいレベル。

単なるお使いクエストに見えるものでも、実はプレイヤーをFF16世界に引きずり込むための機能を果たしているものが多いです。

 

音楽が神

 

FF16の音楽を担当しているのは祖堅さん。FF14のBGMを手掛けているひとです。

FF1~10の音楽を手掛けた植松さん系統の、美しいメロディが特徴。

FF14ではなんども必殺のBGMが炸裂し、しまいには某曲のピアノイントロが流れた瞬間に「感動シーンキター!」とガッツポーズが出るほどでした。

本作ではボス戦の戦闘BGMがすばらしいです。

フェニックスのテーマの美しさ。イフリートのテーマのかっこよさ。タイタンのテーマの狂気。バハムートのテーマの優雅さ。そして最終決戦の希望を感じさせる明るいトーン。どれも良き。

Find the FlameはFF史上でもトップクラスの戦闘曲じゃないかと思う。

 

戦闘アクションが面白い

 

本作はカプコンでデビルメイクライを作ってた人がバトルを担当しています。

とはいえDMCみたいなとっつきにくい手触りではないです。むしろイース8や9みたいなサクサク感。

前半は単調ですが後半になるにしたがってできることが増え、加速度的に面白さが増していきます。

難易度変更はありません(ハードモードは2周目で解放)。代わりに「サポートアクセサリ」と呼ばれるシステムが用意されています。

オート回避の指輪をつけると回避がオートに。オートアタックの指輪をつけると攻撃がオートに。オートスロウの指輪をつけると攻撃をくらいそうになる瞬間画面がスローモーションになります。

これらのアクセサリを使えば、アクション苦手な初心者でもクリア可能。

雑魚敵がめんどくさいと感じたら雑魚戦だけオート回避とオート攻撃にするとかもあり。オート攻撃は多彩なコンボを繰り出しまくるので学習にもなります。

 

そして本作の目玉である召喚獣合戦。これの熱さは異常。史上最高クラスのバトルがいくつもあります。

感動もするんですが、しまいには笑えてくるほどです。この人たちどんだけドラゴンボール好きなんだって感じ。

戦闘がもっとも面白いRPGは何か議論では定番ゲームがいくつかありますが(テイルズオブグレイセスなど)、これからはFF16も上位に君臨するでしょう。

 

モブハントが面白い

FF12にあったあれです。拠点の掲示板に強敵情報(リスキーモブ)が張り出され、それを討伐していきます。

本作はムービーゲーとはいえFF13とか7Rみたいな一本道ではないんですね。フィールドはFF12のそれみたいに広がっています。で、奥まったところに行くとたいてい強敵がいるという流れ。

16はアクションなので、上手い人ならレベル差を跳ね返せるのも魅力。

モンスターは貴重な素材を落とし、強力な装備の材料になります。また名声ポイントがたまり、ポイントに応じてアイテムを受け取れます。

 

FF16の微妙だったところ&改善してほしいところ

次に微妙だったところと改善してほしい点について。

・カットシーン演出の出来にムラがありすぎる
・育成や探索要素が薄い
・画面が暗くて見づらい
・R1ボタンで任意にダッシュさせてほしい
・QTEでボタン連打させるのやめてほしい
・リスキーモブをメニューから確認したい

ところどころでイベントの演出が地味なのはもったいないと感じました。

感動的なシーンになりうる場面でもわりとするっと入ってするっと終わったり。あるいは熱く盛り上がる山場なのに唐突に片切型の台詞を言わせるだけだったり。

FF16にも素晴らしいカットシーンはいくつもあるのですが(実際何度も涙した)、ムラが異様に激しいんですよね。しかもハズレのほうの演出がわりと重要なシーンに来ることもあるから困る。これがほんとにもったいないです。体験版部分は一部の隙もない構成なんですけどね。

これはおそらく納期やリソース不足に圧迫され、必要な描写がカットされた影響なのだと思われます。

 

育成や探索要素が薄いのももったいないと感じました。

スタッフにFF12メンバーが多いので、もっとそういう要素が濃い作品を予想してましたが、むしろ真逆のFF13的な方向性でした。FF12はやりすぎでしたが、今回はさすがに真逆に振れすぎなのではないか…?

あとできれば仲間の育成もほしかったですね。せめてトルガルだけでも。装備変更できたりとか、トルガルコマンドの攻撃力や回復力がなんらかの仕組みで上昇していったりだとか、なんかそういうの。

 

画面の見づらさは終始ありました。

暗いとこだとほんとに見づらい。暗いというよりなんか霧がかかったような感じで視認性が悪いです。ダークソウルとか他の暗いゲームだとそこまで見づらくないと思うんですよね。何が違うのかわかりませんが。

動画で見るとさらに見づらくなるから残念です。せっかく配信映えしそうなゲーム内容なのに、この見づらさだと足を引っ張ってしまうと思います。改善可能ならアプデで対応してほしい。

 

ダッシュの仕様に関してもぜひアプデで対応していただきたいところ。

なぜか任意全力ダッシュできないんですよね。街中の移動スピードは微妙に遅い。フィールドでもしばらくダッシュすると自動で全力ダッシュに変わる謎のDMC仕様。

普通にR1ボタンでダッシュでいいのではないでしょうか?回避に割り振るのは戦闘だけでいいわけですし。どこでも任意ダッシュできるようにしたほうが絶対評価上がりますよ。僕はFF16のプレイ中に「R1でダッシュさえできりゃなあ」と100回ぐらいつぶやきました。

 

ボス戦のQTEも修正はありなんじゃないかと感じます。

QTE演出は別にいいんですが、ボタン連打はきついです。FF14とは違ってこっちは度重なる通常戦闘の時点でボタン連打しまくってるわけですから。それに加えてボス戦のQTEでボタン連打させられるのはきつい。親指の関節が限界を迎えそうになります。LR長押しとかでもいいんじゃないだろうか?

 

モブハントが楽しいと上述しましたが、惜しいのは敵の居場所を掲示板からしか見れないところ。うろうろしてるうちに討伐対象がどこにいたのか忘れます。

まあメモして進めるのも昔ながらの楽しみかたでいいのかもしれませんが、やはりメニューからパッと確認したいところです。

 

細かいほうの不満点はアプデで対応してくれると嬉しいです(とくに画面の視認性とダッシュの仕様)。

アプデとDLCの内容次第では問答無用の神ゲーになる可能性も秘めていると思います。

 

グラフィックはもっと手抜きでよくない?

FF16の弱点というわけではないので上には書かなかったのですが、気になったのはグラフィックにやたら注力している点。

FFだから当然、という意見が多いかもしれませんが、僕は予想外でした。

16のプロデューサーは14の吉田直樹氏。彼の印象からして、全体のバランスやボリュームを優先するかわりにグラフィックは手を抜くんじゃないかと思ってたんですよね。

でも出てきたソフトは良くも悪くもFF的な作り。グラフィックにめちゃくちゃ力を入れていて、そのぶんのしわ寄せが他にいってます。ストーリー描写がカットされたせいで展開のつなぎが唐突になったり、リソース不足でやり込み要素がカットされたりなど。

 

たしかに昔だったらグラフィックへの注力でものすごいインパクトを出せました。1年や2年でとんでもない変化がありましたから。だからグラフィックを優先する価値があった。

でも今は技術の進歩が緩慢で、力を入れたわりにはたいしたリターンがありません。PS4とPS5じゃそんなに変わらないですよね。10年前のゲームでさえ今の作品と比べてそんなに遜色なかったりします。

作り手からしたら「いやぜんぜん違う」という認識になると思うんですが、残念ながら一般消費者からすると今のゲームはどれもこれも似たりよったりのグラなんです。

この状況でグラフィックを最優先して他を切り捨てるのはどうなんだろう?グラフィックへの比重を減らして全体のバランスをよくする道もあると思うんですけどね…

グラで手抜きすればもっと色んなハードに出せる特典もえられますし。若いユーザーがほしいとFFスタッフは述べていますが、任天堂ハードに出すだけでそのような悩みは一発で解決します。

吉田P率いる14チームでさえこういう作りなんだから、もうこれがFFの生きる道だと覚悟を決めるしかないのかなとも思う。まあスクエニ経営陣からすればFF開発現場でグラフィックのフルパワー実験をせずにどこでするんだという意図もあるのかも…

 

この作り方を変えないのであれば、ストーリー構成のほうを変えざるをえないんじゃないかと感じます。

もっとコンパクトな内容にしないと語りきれないんですよね。

スーファミとかPS1のころのノリで世界観やシナリオを構築すると、ゲーム内に収まりきらない。結果、途中の描写がカットされまくったり、後半から急に巻きが入ったりする。

FFに限らず最近のRPGはこのパターンがめちゃくちゃ多いですよね(一番の典型例はFF15ですが)。

FF16も情報が公開されたときにいやーな予感がしました。ロザリア、ザンブレク、ウォールード、鉄王国、ダルメキア、クリスタル自治領…。こんなに世界広げたら語りきれんだろと思った。実際出てきた作品は破綻することなくまとまっていて安心したんですが、ぜったいここカットしただろみたいな部分は目立ちます。

もっとコンパクトな内容にしないと、現代のグラフィックでは十分な量を描写しきれないんですよね。

理想のモデルはFF10じゃないでしょうか(今やレトロゲーですが)。あれは一本道のコンパクトな舞台で、完成度の高いシナリオを語り切れた類まれな存在。

グラフィック最優先の一本道ゲームを作るのであれば、FF10をトレースする形でストーリーを構築するのが正解だと思うんですよね。「起」はここまででこのくらいの分量、「承」はここまででこのくらいの分量、「転」はここまででこのくらいの分量、「結」はここまででこのくらいの分量というふうに。

 

それかFF7リメイクのように分作にして立て続けに発売していくかですね。あれが分作になると知ったとき僕は拍手喝采しましたね。ちゃんとフルリメイクする気なんだとわかって。もし現代のグラフィックで一作に収めてきたら、話カットしまくりのスカスカダイジェスト版になるのは明らかですから。

「コンパクトな内容じゃなくて長大な話を語りたい!でも分作は嫌だ!」というなら、やはりグラフィックで手抜きする以外にないと思います。

PS3世代のショボいグラフィックのFF14がなぜあんなに人気があるのかを考えてみれば、グラフィックがそれほど重要じゃないという結論になると思うんですけどね…

 

FF16から始めた新規プレイヤーは次にどれをやるべき?

FF16からFFを始めたという人もいると思います。次に手を出すならどれにするべきか?

オンラインに抵抗がないならFF14を始めるのがよいでしょう。

新生→蒼天→紅蓮→漆黒→暁月と続いていきます。蒼天がFF16と同じスタッフ。漆黒~暁月のストーリーはRPG史上でもトップクラスの評価をされています。ただしFF16のようなド派手なムービー演出を期待するひとはガッカリするかも。

 

オフラインがいい、ド派手ムービーゲーがいいという人はFF7リメイクでいいと思います。

JRPG史上最高の人気をもつ作品のリメイク。16と違って完全なアクションではないけれどもあれはあれで面白い。今度2作目のリバースも出ます(3作目で完結)。

 

16の元ネタを知りたい人はFFタクティクスもおすすめ。

タクティクスオウガのようなシミュレーションRPGなので人は選びますが神ゲー。16にはFFTネタがばんばん登場します。現行ハードに移植されていないのが難点ですが、たぶんそのうち出ます。

ナンバリングなら3~10はどれも名作で召喚獣も出てきます。とくに召喚獣をフィーチャーしてるのは6と10ですかね。こちらは現行ハードでリマスターが出ているのですぐにプレイ可能。

関連記事:FFはどれからプレイすればいい?【この順番がおすすめ】

 

FF17に期待すること

FF16はこれでいいんですが、この作風が固定化されて、以降ずっとファイナル・デビルメイクライ・ファンタジーになったらやはり違和感はあります。

主人公一人だけ操作というのは物足りないものがあるし、戦略や育成にもっと幅があった方がいい気もする。探索要素ももうちょいあってもいいかも。

とはいえストーリーの薄いオープンワールドゲーになられても困る。あくまでもストーリードリブンで作って、それをできる限り横に拡張するみたいな作り方をしてくれると嬉しいですね。

 

FF17にはFF14の漆黒チームが開発にたずさわるんじゃないかと噂されています。

もしこれが本当なら、FF17はFF10と正面から殴り合って勝てるタイプの神ゲーになる可能性があります。

FF16が好評なこともあり、次のFF17は相当なセールスが期待できるでしょう。最初からマルチプラットフォームで発売すれば(ここ大事)、軽くシリーズ記録を更新すると思います。

ここで漆黒・暁月の脚本家を起用せずに、いったいどこで起用するというのか?

スクエニさん、全力を出すタイミングはここです。

 

ネタバレ注意 FF16のエンディングについて考察

FF16はオープンエンド風のエンディングで幕を閉じます。「あとは読者の想像におまかせします」的なやつ。FF7と同じ。

いったいどうなったの?バッドエンドなの?ハッピーエンドなの?

悶々とするひとが多いようなので解説しておきます。

 

結論からいえばハッピーエンドだと思われます。ビターエンドを装ったハッピーエンドがFF16。

終盤のサブクエストをやるとわかるんですが、クライヴはハルポクラテスとある約束をするんですよね。「この冒険が終わったら、ハルポクラテスの羽ペンを使って本を書く」と。

その後に自室の手紙を読むと、ハルポクラテスがクライヴに「今回の旅について語った冒険譚」を書くようにお願いしていたことがわかります。

そしてエピローグでは、FF16の物語について記された本が机の上に置かれている。

さらに本作の一番最初と一番最後にはクライヴの声でナレーションが入ります。物語の開始を告げるのも、終わりを告げるのも、クライヴのナレーションなんですね。

つまりFF16という作品は、冒険を終えて約束の冒険譚を書き終えたクライヴが、だれかに本の内容を読み聞かせているという形式だったのです(プレイヤーは朗読内容をプレイしていた)

 

…しかし、ここで気になる点が。

エピローグに出てくる本の著者名が、クライヴではなくジョシュアと記されていること。これはいったいどういうことなのか?

調べてみたら海外のユーザーがすごい説得力のある解答を出していたので紹介します。

クライヴはジョシュアの生きた証を残すために、「ジョシュア・ロズフィールド」をペンネームにして本を書いたというんですね。

そんなことする?という疑問に対する答えも完璧。

クライヴは亡くなったシドの意志を引き継ぐとき、その名前をも継承し、「シド」を名乗り始めました。このクライヴの行動原理からして、ジョシュアの名前を引き継いで本を書くことは自然だ、と。

中盤でクライヴにシドの名前を引き継がせたのは、エピローグのこの演出と最初から組み合わせて計算されていた可能性が高いですね。

終盤のサブクエで「禁書」をテーマにしているのがありますが、あれも匂わせでしょう。すべての事実を公表できるような環境じゃないよと。おそらくFF16本編という書籍も、クライヴやジョシュアが実際に経験した出来事とはズレがあるのだと予想されます。