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世界文学最高傑作のひとつ『デイヴィッド・コパフィールド』

2023年11月22日洋書

19世紀イギリスを代表する文豪ディケンズの自伝的作品『デイヴィッド・コパフィールド』。モームが世界十大小説のひとつに数える作品でもあります。

僕は最初に岩波文庫版で読み、とんでもなく面白かったのですぐに原書で2周目に突入しました(たまにあるパターン)。個人的にはディケンズの最高傑作はこの本だと思ってます。

ちなみにディケンズ作品を面白かった順に並べると、

デイヴィッド・コパフィールド>>オリバー・ツイスト>クリスマスキャロル>信号主>>二都物語>大いなる遺産>骨董屋>その他

…となります(信号主は岩波文庫の『ディケンズ短編集』にも収められている先駆的なホラー作品。かなり有名なお話で、今読んでもすこぶる怖いです)。

 

原書のページ数は1024。邦訳の岩波文庫版で全5冊という特大のボリュームとなっています。とはいえ中身が面白いので通読は苦じゃなかったですね。

文章は非常に難しいです。僕は先に邦訳版を読んでいたので苦労せず読めましたが、ディケンズをいきなり原書で読むとなると相当どころじゃない英語力が必要になると思います。

『二都物語』(新潮文庫)の訳者が「ディケンズの難しさは想像以上で、現代のミステリなんかとは比べ物にならなかった」みたいなことを書いていましたが、まあそうだろうなって感じ。

 

ちなみに『デイヴィッド・コパフィールド』を邦訳で読むなら圧倒的に岩波文庫版がおすすめ

ディケンズ最大の長所はユーモアセンスの炸裂にあるのですが、それを日本語で再現できているのが石塚裕子による岩波文庫版だからです。

本書はディケンズの自伝的小説であり、彼が実際に体験したエピソードを材料として用いている場面が多々あるそう。

過酷な少年時代を送った果てにひとり放浪するシーンがありますが、そういえば『オリバー・ツイスト』にも同様の描写が見られましたね。

ユーモアの達人として知られるディケンズですが、そのセンスが最高潮に達しているのが本作だと思います。

とくにミコーバー氏の面白さは異常。モームだったかが、この人物は世界文学を代表する存在のひとりだと評していましたが、それも納得です。

ユライア・ヒープのような悪人も登場。黒い人物や暗い場面を描かせると、ディケンズは途端に後のロシア文学的な空気感を醸し出してきます。ちなみにイギリスのロックバンド「ユライアヒープ」はこの人物から名前を取ったそうです。

 

元々は連載物で、読者の反応を見ながらストーリーを変更したという逸話もあるように、話の筋は特別練られているわけではないです。

しかし個々のシーンやキャラクターの描写が他の追随を許さぬ次元に到達しており、多少の欠点などどうでもよくなるくらいに面白い。個人的に、本書より面白い小説となるとドストエフスキーの『カラマーゾフの兄弟』くらいしか思いつかないほどです。

関連:ドストエフスキーの小説はどれから読むべきか?【この順番がおすすめ】

ドストエフスキー、プルースト、カフカ、エドガー・アラン・ポーなどに大きな影響を与え、トルストイをして「彼はシェイクスピア級の文学者だ」とまで言わしめたディケンズ。それなのに日本での存在感はなぜか薄いんですよね。もっと読まれてほしいものです。

世界文学に興味があるなら『デイヴィッド・コパフィールド』を読まない手はないですよ。

 

その他の世界文学の名作は以下の記事を参考のこと。