洋書をスラスラ読める語彙力のつけ方【英単語暗記の最短コース】
「洋書を読もうとしても上手くいかない。早く読もうとすると内容が頭に入らないし、しっかり理解しようとすると読むスピードが遅すぎて苦痛。いったいどうすればいいんだろう?」
結論から言うと、洋書をスラスラ読むには、高校レベルの文法力に加えて、豊富な語彙力が必要です。
英単語暗記というといかにも初歩的なイメージがありますが、実際には中級者や上級者でもこれが重要になってきます。
ではその語彙力とはどのくらいのレベルが必要なのでしょうか?またそれをどうやって身につけたらいいのでしょう?
ここではそれを解説します。必要となるテキストは最大でも5冊。これをマスターしておけば、よっぽど難解な一部の本を除き、ほとんどの洋書を読みこなせるようになります。
僕は古典からベストセラーまで日常的に洋書を読んで楽しんでいますから、効果は実証済みです。
Z会の速読・速聴英単語シリーズから
まずはZ会の速読・速聴英単語シリーズを使います。もっともレベルの高いAdvanced1100をマスターするのが目標です。
このシリーズの強みは長文のなかで英単語を暗記できるところ。一つ一つ個別に英単語を覚えていくよりも、このほうが圧倒的に記憶に定着しやすいのです。
また英単語を覚えることを主眼としつつ、長文読解のトレーニングになる点もグッド。洋書を読みこなしていくための基礎体力がつきます。
付属のCDを利用すれば、学習した英単語の定着を図りつつリスニングの訓練にもなる。このようにすべてを結びつけて学習していくのが語学のコツです。
自分に合ったレベルから始めよう
この速読・速聴英単語シリーズ、全部で5冊ありますが、必要となるのは最大でも3冊です。Basic2400、Core1900、Advanced1100がそれ。
中学・高校レベルの英語に不安がある人はBasic2400から始めてください。これが初歩的すぎると感じる人はCore1900から、英語の語彙力に自信があるという人はいきなりAdvanced1100からスタートします。
最終的にAdvanced1100をマスターするのが目標です。Advanced1100はエコノミスト誌などの良質かつハイレベルな英文が収録されていて、とてもクオリティが高い。TOEICでいえば900点レベルですね。
Coreをマスターすれば易しめの洋書が読めるようになります。たとえばシドニー・シェルダンやナルニア国物語など。ハリー・ポッターの前半もいけますね。
Advancedまでマスターすると、平均的なレベルのペーパーバックが読めるようになります。ハリーポッターの最終巻ぐらいなら余裕でしょう。
速読・速聴英単語シリーズの使い方
ここで速読・速聴英単語シリーズの効果的な使い方をお教えしておきます。
まずは英文をざっと読んでいきます。わからないところはページ右側の日本語訳を見てすぐに意味を確認します。
単語の意味や構文など内容を完璧に理解したら、今度は英文を音読します。回数は5回から10回ぐらい。ここで文中の英単語を覚えていきます。
音読が終わったらページ下の英単語を赤シートで隠して、覚えているかどうかをチェック。覚えていない英単語は10回ほど口で唱えて覚え直します(この時、単語のイメージを頭のなかで思い描きます)。
複数の意味をもつ単語がありますが、覚える意味は一つだけで十分です。まずは文中で使われている意味だけを覚えましょう。最初からすべて覚えようとすると、挫折します。長文のなかで覚える本シリーズの長所が活きないですしね。
翌日になったら、前日に学習したページの英単語を覚えているかどうかをまたチェック。覚えていない英単語は復習用にマークをつけておき、また10回ほど口で唱えます。
それが終わったら次のページの学習を開始。これの繰り返しです。
それから、暇な時間にCD音源でリスニングすることもオススメします。学習していないページの音源は聞かないでください。それはほとんど意味がない。学習し終わったページの英文を繰り返し聞いて復習するのが重要です。これなら聞き流しだけでも効果があります。
もっと上のレベルを目指すなら『究極の英単語』
「速読・速聴英単語」シリーズと、高校レベルの英文法力。これだけで易しめの洋書は読めてしまいます。
しかしもっと高度な洋書を読みたいという場合、さらなる語彙力が必要になってくる。そこでおすすめなのが「究極の英単語」シリーズです。
これは最高峰のレベルを誇る英単語テキストで、最終巻である第4巻は英検1級のレベルを上回ります。
この「究極の英単語」シリーズの第3巻と第4巻をマスターしましょう。第2巻まではやらなくていいです。「速読・速聴英単語」シリーズでカバーできる範囲なので。
第4巻までの英単語をマスターすれば、たいていの洋書が読めるようになります。カズオ・イシグロやスティーブン・キングといったやや難しめの作家でもなんとかなるでしょう。ちょっと昔の作家の古典、たとえばマーガレット・ミッチェルの『風と共に去りぬ』やサリンジャーの『ライ麦畑でつかまえて』なども普通に読めるようになります。あるいはノンフィクション系、たとえばハラリの『サピエンス全史』なども余裕ですね。
英単語は長文と一緒に覚えなくてもいいのか?
この「究極の英単語」シリーズは、単語を個別に一つずつ覚えていくスタンダードなテキストです。
「英単語は長文の中で覚えたほうがいいんじゃなかったの?」というツッコミが入りそうですが、このレベルになると長文で単語を覚えるタイプのテキストが存在しないため仕方ないです。
それにこのレベルに達している人の場合、すでに易しめの洋書なら自由に読みこなしているはず。多読をしていれば、「究極の英単語」で覚える単語にはしょっちゅう遭遇することになります。すると覚えた英単語が自然と定着していくのですね。だから個別に英単語を覚えることに懸念を抱く必要はないですよ。
英英辞典を暗記する?
英単語のテキストは「究極の英単語」第4巻が終着点なのですが、なかにはさらに上のテキストがほしいという強者もいるかもしれません。
そういう人には、ポケット版英英辞典をおすすめしておきます。プロの通訳者や翻訳者には、こういう小型の英英辞典を暗記してしまう人がけっこういます。
僕はやったことがありませんが、意欲があるのなら挑戦してみてもいいのではないでしょうか。ただし無理にやる必要はまったくありませんので安心してください。
辞書は使わなくてオーケー
語学のプロを目指すのでない限り、辞書は必要ありません。千野栄一も名著『外国語学習法』(岩波新書)のなかで、辞書は中級者以上の人のための道具だと言っています。
ここで紹介した「速読・速聴英単語」シリーズの3冊と「究極の英単語」シリーズの2冊、当面はこの計5冊を辞書代わりにして使えば十分です。
「究極の英単語」の第4巻までマスターしても、英文を読んでいると知らない単語はちらほら出てくる。辞書を使うのはこのレベルに達してからですね。
意欲があるのなら辞書で引いた英単語を覚えていけばいいでしょう。
英文法の基礎を固めることも重要
以上、洋書を読みこなすために必要な英単語力強化のロードマップを書いてきました。最後にまとめておくと、
・「速読・速聴英単語」シリーズをAdvancedまでマスターする
・「究極の英単語」シリーズの第3巻と第4巻をマスターする
これだけでオーケーです。
また、洋書をスラスラ読んでいくには、豊富な語彙力だけでなく、英文法の基礎も必要になってきます。たとえ数万後の英単語を知っていたとしても、英文法がまったくわからなければ洋書は読めません。
しかし安心してください。英文法に関しては高校レベルで十分です。中学と高校の文法テキストをマスターすれば、それだけで実践レベルに到達します。
英文法の勉強法やおすすめのテキストに関しては、以下の記事を参考にしてください。
また、「もっと難しい英文を読みたい」という段階に進んだら、精読のトレーニングも必要になってきます。
これは中級者と上級者のあいだのステップですね。
精読については以下の記事を参考にしてください。