【洋書】エックハルト・トール The Power of Now【書評】

2021年5月19日

現代の伝道師エックハルト・トール。

彼のデビュー作がこのThe Power of Nowです。

身近にいる少数の読者のために書かれた本でしたが、時間が経つとともにあれよあれよと売れ始め、世界中でベストセラーになりました。

ちなみに続編のニューアースはアメリカだけで600万冊以上が売れているとのこと。

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ヴィパッサナー瞑想に近い

エックハルト・トールはいわゆる「スピリチュアル」にカテゴライズされる人ですが、オカルト的な話はまったくといっていいほど登場しません。

むしろインドのヴィパッサナー瞑想に近いノリです。

ヴィパッサナー瞑想では、今その瞬間の感覚だけに集中し、その他の一切を雑念として排除します。

トールが実践していることもこれと同じ。「今」に集中することで、あらゆる雑念を絶ち、最終的にはエゴ(小自我)を滅するというわけです。

このThe Power of Now、日本語版のタイトルは『さとりを開くと人生はシンプルで楽になる』となっています。タイトルのセンスには賛否が分かれそうですが、内容を表してはいますよね。

 

あなたはあなたの思考ではない

トールの教えの核心には、自分と自分の思考を区別することがあります。

あれやこれやと考えている頭の中の思考、それは自分ではないというわけです。そのような思考を可能にする場所、あるいはそのような思考を見つめている視点、それこそがこの私です。

そして偽りの私である思考には時間(過去と未来)が対応し、その背後にいる真実の私には「今」という名の「存在」が対応します。

したがって雑念から解放された「私」は「時間」を超越し、「存在」を生きることになります。

 

仏教をはじめとする東洋の宗教ないしは東洋哲学に馴染みがある人からすると、それほど不可解なことは言っていないかと思います。

ただエックハルト・トールのすごいところは、これを実際に自分の身で実現していることろにあります。理屈を唱えるだけなら誰にでもできるのですが、それを実際にやるとなるとまったく話が違いますからね。

ホームランの打ち方を解説するのと、実際にホームランを打つぐらいの違いがあります。

真の宗教者と哲学者の違いは、ここにあると言ってもいいでしょう。

 

最初に読むのはニューアースのほうがいい

このThe Power of Nowはちょっと構成が変わっていて、トールへの質問とそれに対するトールからの応答で話が進んでいきます。あまり読みやすいとはいえません。

質問の内容がトールに批判的なところも特徴。

だから1冊目に読むよりも、トールの言っていることをある程度理解した人がさらに理解を深めるために読むのが本書の正しい使い方だと思います。

本書の続編にあたるニューアースのほうが入門書としては優れています。

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トールに関心のある人には、まずこのニューアースを読むことをオススメします。

僕はこの本を洋書で3回は読みました。読むだけでも瞑想になるような素晴らしい本です。