ライプニッツのモナドロジー、岩波文庫か中公クラシックスどっちで読む?
千年にひとりの天才ともいわれるライプニッツ(たしか坂部恵の発言)。微分積分を発明した数学者としても有名です。
そしてライプニッツの哲学的アイデアを封じ込めた断片が『モナドロジー』と呼ばれる作品。
2019年になって、岩波文庫からモナドロジーの新訳が出ました。本屋でぱらぱらめくってみたところ、正直とくに旨味はない感じ。
ライプニッツを買うなら、すでに出ている中公クラシックスのほうがいいと思います。なぜなら中公クラシックスバージョンには「形而上学叙説」も含まれているからです。
「形而上学叙説」はかなりまとまった分量の文章で、ライプニッツが残した草稿のなかでは体系性が高いもの。ライプニッツを理解するにはこれも読んだほうがいいです。
さらに中公クラシックス版には他にも色々なエッセイが収録されています。「対話」「位置解析について」「学問的精神について」「事物の根本的起源」「必然性と偶然性」「モナドについて」がそれです。
しかも「来るべき時代の設計者」というタイトルで下村寅太郎による50ページ超えの解説までついている。どう考えてもこっちのほうがお得ですね…
岩波文庫バージョンも、どうせ新しく発売するならもっと付加価値がほしかったですね。たとえば光文社古典新訳文庫みたいに初心者向けの膨大な解説をつけるとか。それなら買っていたかも。
ということで、ライプニッツを買うならまずは中公クラシックス版を選ぶことをおすすめします。
ついでに言っておくと、ライプニッツの解説書ではマシュー・ステュアートの『宮廷人と異端者 ライプニッツとスピノザ、そして近代における神』がおすすめ。
関連:ライプニッツの哲学をわかりやすく解説【スピノザとの対比で理解】
スピノザとの対比でライプニッツの生涯と思想を描いた本です。ものすごく明快でわかりやすい評伝。ライプニッツの入門書や解説書は少ないので、かなり貴重な存在ですね。