日本史の独学におすすめの本4選【参考書から通史まで】
「日本人なんだし日本の歴史ぐらいは熟知しておきたいな。でも考えてみれば日本史ぜんぜん知らないや。受験は世界史だったし、中学で習った歴史なんてぜんぶ忘れたし」
こういう人は少なくないと思います。実は僕のことなんですけどね。
僕は大人になってから日本史を本格的に勉強しました。
色んな本を読みましたよ。意外と覇権的な名著がないのがこのジャンルなんですが、これは使えると感じた良書もあります。
以下、僕が使った日本史関連の本からおすすめを紹介したいと思います。
石川晶康『日本史B講義の実況中継』
日本史の知識なんてほとんどがない。さて、どこから手を付ければいいのか?
僕がおすすめしたいのは『日本史B講義の実況中継』です。世界史の記事でもおすすめしたシリーズですが、やはり日本史でもこれが役に立ちます。
受験生用の有名なシリーズ。塾の授業をそのまま活字にしたノリで書かれており、非常に読みやすい。内容も体系的で、日本史の流れと全体像がスムーズにつかめます。
音声(CD)が付属しているのがまた強力。復習に使いましょう。読むよりも聞くほうがずっと楽。通読で吸収した知識がさらにしっかりと定着します。石川氏の語りには独特のユーモアがあって、聞いてるとけっこう楽しいです。寝る前に聞くと復習しつつ睡眠導入剤にもなって一石二鳥。
第1巻の原始~古代、第2巻の中世~近世、第3巻の近世~近代、第4巻の近現代、この4巻を読むとよいでしょう。第5巻の文化史は読まなくてもいいです。
流れをつかめればオーケー。別にテストを受けるわけでもないですし、細かい部分の暗記とかはしなくていいです。
網野善彦『日本社会の歴史』(岩波新書)
日本史って一人の学者が書いた通史があんまりないですよね。中国史でいう宮崎市定の『中国史』とか、世界史でいうマクニールの『世界史』みたいなやつ。ああいう本が色々あれば、それぞれの作家性が出て楽しく学べるんですけどね。
貴重な例外が、網野善彦の『日本社会の歴史』ですかね。日本中世史学の大物、網野善彦による通史です。岩波新書だから手軽に読めるのも嬉しい(ただし上中下の3巻構成)。
上巻は縄文時代から9世紀の関白登場まで、中巻は14世紀の南北朝の動乱まで、下巻は建武の新政から現代までとなっています。
中世の専門家ということもあり中世の記述が分厚いのが特徴。逆に明治維新以降の歴史を下巻の15ページに圧縮するという尋常でなく大胆なバランス。近現代史については後述の本で補強しましょう。
網野善彦といえば『日本の歴史を読み直す』(ちくま学芸文庫)もすこぶる面白い名著なので、おすすめしておきます。
坂野潤治『日本近代史』(ちくま新書)
近代史にはこれがおすすめ。450ページくらいある分厚い新書です。著者は日本近代史研究の重鎮。
明治維新から始まり、1937年の日中戦争突入までを描きます。旧体制の打倒から明治国家建設までが序盤、近代国家体制の運用が中盤、崩壊への序曲が終盤です。
いきなりこれを読もうとすると骨太すぎてきついと思います。が、上記の実況中継シリーズで大まかな流れと重要イベントを把握していれば、わりとスラスラ読めるはず。
前半の内容は半藤一利の『幕末史』(新潮文庫)で、後半の内容は三谷太一郎の『日本の近代とは何であったか』(岩波新書)で補うと、より理解が深まります。
半藤一利『昭和史』(平凡社ライブラリー)
坂野潤治の『日本近代史』は昭和の序盤で話が終わってしまいます。そこから先の昭和史をわかりやすく解説してくれる本はどれか?
半藤一利の『昭和史』が圧倒的におすすめ。
網野善彦や坂野潤治の本は新書とはいえアカデミックな趣でしたが、こちらはもっと一般読者目線の本で、たいへんわかりやすい上に読み物としての面白さも一級です。
この記事では時代順におすすめ本を列挙しましたが、わかりやすいのを優先的に読みたいという人は、これを実況中継の次に読んでもいいと思います。なんならいきなりこれから読み始めても大丈夫。
学校の授業っていちばん肝心の近現代史をあまり扱わないですよね。縄文土器やら北京原人やらの話から始まって、近代に到達するころには授業がほとんど残ってないみたいな。結果として近現代史の知識が不足している人が少なくないと思います。
半藤一利の『昭和史』(と『幕末史』)を読むだけで、そこらへんの知識がだいぶ補強されることでしょう。
ちなみに昭和史なら中村隆英の『昭和史』も名著です。半藤一利の本を読んだあとにさらに昭和史を深堀りしたい読者におすすめ。
動画で日本史を復習するのもおすすめ
映像教材が好きな人、あるいは本を読むのが苦手なタイプの人は、動画を活用するのもいいでしょう。
おすすめはスタディサプリ。
大学受験生用のサービスとして圧倒的な人気を誇りますが、実は大人が使っても効果が大きいです。
実際、僕は元外交官の佐藤優がどこかでスタサプを社会人相手におすすめしているのを読んで(たしか池上彰との共著『僕らが毎日やっている最強の読み方』)、初めてこのアプリの存在を知りました。
月額約1,000円で一流講師陣によるテキスト数十冊ぶんの膨大な講義が見放題になるので、動画学習に興味のある人におすすめしておきます。
まずは無料体験(2週間)を試してみるとよいでしょう。
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以上、日本史の独学におすすめの教材を紹介しました。新たな名著に出会ったらそのつどアプデしていきます。
なお世界史のおすすめ本はこちら。