英文契約書を勉強するならこの本【特におすすめの入門書2冊】
英文契約書を初めて読んだときは面食らいました。あたかもカントの哲学書かと思うような文面で、こんなのを解読できる人いるのかと。
しかし地道にテキストを学習してみると、英文契約書の文章はいくつかのパターンに従っていることに気づきます。
そしてそのパターンさえ把握すれば、むしろ読解はたやすいと思えるようになるのです。
幸いなことに、英文契約書のパターンを学習するためのテキストは数多く出版されています。
以下、僕が使ったテキストから、とくにオススメの2冊を紹介します。
山本孝夫『英文契約書の読み方』(日経文庫)
日経文庫っていうシリーズありますよね。日本経済新聞社が出版しているシリーズです。文庫と名乗ってはいますが、実際のサイズは新書ですね。
日経文庫は、基本的にハズレが多いです。初心者が読むにしては内容が難しすぎる。かといって、中級者や上級者ならもっと本格的な本を読むべきですしね。だれに向けて書かれたのかよくわからないという本がほとんどです。
しかし例外はあって、その一冊が『英文契約書の読み方』です。これは本当にわかりやすい。
著者が英文契約書から文章を引用してきて、それを解説していくスタイル。引用は短めなので、読んでいて負荷が少ないです。
まず英文契約書を読みながら基本用語、頻出表現を紹介し、次に条項の読解のしかたを解説していくという構成。巻末には索引もついています。ボリュームは235ページ。
日経文庫が新書サイズであることのポテンシャルが発揮された本ですね。
英文契約書テキストというと、ほとんどのものが大型の書籍で、読む前の心理的ハードルが高くなるんですよね。しかし本書は小ぶりな新書サイズであるため、だいぶ気軽な気持ちで学習、復習ができます。
本書を通読すれば、英文契約書を読解する基礎体力がつきます。
ちなみに続編の『英文契約書の書き方』(日経文庫)は、読んでも読まなくてもいいですね。「書き方」と銘打ってはいますが、構成は本書とほぼ同じです。
宮野準治・飯泉恵美子『英文契約書の基礎知識』
次にこちらをオススメします。これは有名なテキストですね。たぶん英文契約書のテキストのなかではもっとも名の知れたものかと。
これを2番目に読むことを推奨します。『英文契約書の読み方』で得た知識を、さらに深く身につけることが目的です。
異なる観点から同様の知識を復習すると、理解や記憶が深まるんですよね。同一のトピッタについて複数のテキストを読んでみるというのは、脳科学的にみても有効な学習法です。
本書の構成ですが、基本的には『英文契約書の読み方』と同じです。まず契約書の頻出表現を紹介し、次に売買契約書、ライセンス契約書、合弁会社契約書を読んでいきます。
ただし後半のほうはとてつもなく長い文章が登場してくるため、レベル的には本書のほうが射程が長いんですね。
ですから、『英文契約書の読み方』からさらに上のレベルに進もうというときに、ちょうどいい具合にフィットするわけです。
まとめ
以上、英文契約書の勉強をするために必要なテキストを2冊紹介しました。
・『英文契約書の読み方』
・『英文契約書の基礎知識』
英文契約書のテキストは現在も続々と新刊が発売されていますが、上記の2冊を読むだけで実践的な力は身についてしまうと思います。
翻訳系のおすすめ書については以下の記事も参照のこと。