スピーキング重視の英語勉強法 青谷正妥『英語学習論』
青谷正妥『英語学習論 スピーキングと総合力』を読みました。
京都大学の名物教授(そうとうな変人らしい)といわれる青谷正妥による、英語学習論です。知る人ぞ知る名著。
青谷は理学博士にして教育学博士でもあるという凄い経歴の持ち主。TOEFLとかもすべて満点スコアを取っている模様(本人いわく、それでもネイティブの1億分の1ぐらいの英語力らしい)。
本書は科学的なアプローチに基づき英語学習論を展開していますが、最大の特徴はスピーキングを重視するところ。
読む・書く・聞くの根っこにスピーキング力があると著者は主張します。それも単なる独断ではなく、理論的に裏づけられた話。終盤の一章でこれが説明されます。
リーディング、リスニング、ライティングについての記述もくわしいです。内容はかなり参考になります。
リーディングやリスニングについては他のSLAと同じ方向性。インプットの量を重視し、易しめの英語を大量に取り込むことをオススメしていますね。
一方で、アウトプットの訓練にライティングよりスピーキングを重視するところが特徴的だと思います。読んでみると、これはかなり目からウロコ。
ただスピーキングの訓練がかなりストイックなもので、動機づけのしっかりした学習者じゃないと続けるのは簡単じゃなさそうです。
逆に言うと、モチベーションの高い学習者は本書の指導に従えばそうとう伸びるんじゃないでしょうか。
ちなみにこの本、内容はハイクオリティなのですが、文章がめちゃくちゃ読みにくいです。
著者の文体が独特すぎる。なんとも形容しがたい摩訶不思議な文体で、横書きの文章が続いていきます。吉田健一かと思うほどの読みにくさですよ。
本書を読むにあたっては、その点を心しておいたほうがよいと思います。