英語は得意なのに英作文が苦手?おすすめの英作文テキストがあります
英作文が苦手な人は多いですよね。
英語を得意にしている人(TOEIC900点台)でさえ、英作文には自信がもてないという人がほとんどだと思います。
たとえば翻訳者の猪浦道夫も『語学で身を立てる』(集英社新書)のなかで、「まじめな学習者がいちばん苦労するのはこの作文力の養成」であると述べています。猪浦氏自身もかつて、どうやって英作文力をつけたらいいのか悩んでいたそうです。
いったいどうすれば英作文の力は伸びるのか?
僕もこれには長年苦労し、さまざまな方法を模索してきました。色々な英作文テキストや英語学習本に当たった結果、これが正道だろうというプロセスが見えています。
そのプロセスは以下の4ステップから成ります。
①瞬間英作文で英語のアウトプット回路を作る
↓
②基本的な英文を暗記して英借文の基礎を作る
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③短文の英作文をトレーニングする
↓
④長文の英作文をトレーニングする
この記事ではそれぞれのステップごとに、おすすめの参考書を紹介したいと思います。
ある程度の基礎力がある人が対象です。中学レベルの英単語や英文法はマスターしていることを前提にお話します。
英文法に不安のある人は、以下の記事を参考にして学習してみてください。
まずは「瞬間英作文」シリーズでアウトプット回路を育てる
まずはこれから。森沢洋介の瞬間英作文シリーズです。
中学レベルの英文を、ひたすら瞬間的に組み立てるという内容。中学レベルの文法知識と単語力さえあれば使えます。効果は抜群。
なんのためにこのテキストに取り組むのかというと、英語のアウトプット回路を作るためです。インプットがいくら上等でも、アウトプット回路ができていなければ英文ライティングはこなせません。
難解な文章を読めるのに、ネイティブの子どもレベルの会話さえままならないという人は多いですよね。そういう人はアウトプットの回路が未発達なのです。
まずはこのテキストでアウトプット回路を確立しましょう。いったん回路ができれば、インプットによって養った知識が奔流のごとく流れ出してきます。
英作文だけでなく、英会話にも大きな効果のあるテキストです。
シリーズは何冊も出ていますが、とりあえずは最初の2冊だけでオーケー。青いカバーの「どんどん」と、緑のカバーの「スラスラ」ですね。
ちなみに、もしこの本に登場する英文を読み解くのに苦労するようでしたら、やはり英文法の復習に取りかかったほうが近道だと思います。
『英作文基本300選』で英借文の基礎を作る
「英作文は英借文」だと言われます。
オリジナルの表現をゼロから考え出すのではなく、ネイティブが使う正しい表現を部分的にアレンジして文章を組み立てるのが英作文だという意味です。
語学の達人・斎藤兆史も言うように、「見たことのない英語を書いてはいけない」というわけです。
英借文ができるようになるためには、正しい英語のインプットが必要ですよね。頭の中に英文がストックされていなければ、アレンジして使うこともできないのですから。
どうやって正しい英文をインプットすればいいのか?そこでオススメなのがこの『英作文基本300選』です。
この参考書に掲載されている300文を、すべて覚えてください。英借文をするための基礎が身につきます。
駿台文庫からは『英作文基本700選』というさらにボリュームのある参考書も出ています。
そっちを推す人もいますが、最初からハードルを上げると挫折しやすいので、僕は300選をおすすめしています。
例解 和文英訳教本 (文法矯正編)で短文の英作文トレーニング
次に、ごりごりと英作文をしていく正統派テキストに進みます。
この段階の英作文テキストは本当に数が多いのですが、僕がおすすめするのはこの『例解 和文英訳教本 (文法矯正編)』。
頭の中にある英文法知識を、英作文で使える実践的なレベルにまで引き上げてくれる参考書です。
解説が具体的かつ理論的なのが特徴。どういうふうに英文を組み立てればいいのか、頭で理解できます。
まずはこの文法矯正編(赤いカバー)をやってみてください。余裕があれば続編(青いカバー)にも取り組んでみるといいでしょう。
長文編(黒いカバー)はやらなくていいです。長文に関しては他にもっとオススメの参考書がありますので。
竹岡広信の『英作文が面白いほど書ける本』も人気がありますが、僕はおすすめしません。
説明が浅いため、実用的ではないのですね。
ボリュームがありすぎるのも一長一短で、多くの人が途中で挫折すると思います。
僕も使った(しかも2周)のですが、何かが成長したという実感がわかないのです。
とにかく理屈抜きで詰め込みたいという人になら合っているかもしれません。
佐々木高政『和文英訳の修業』はどうでしょうか?英作文の伝説的なテキストですね。
佐藤優が推薦したこともあり、少なからぬ社会人がこの参考書に挑戦し、そして玉砕したかと思います。
難しすぎて実用的じゃないのですね。あまりにも高度。
昔のエリート学生のレベルの高さを思い知るにはいい本です。
英作文ハイパートレーニング(自由英作文編)で長文の英作文トレーニング
さて次は長文に進みます。
短文の英作文ができれば自然と英語の長文が書けるようになるかというと、残念ながらそうはいかないです。
英語の長文には独特の構造や決まりがあり、書き手はそれを守らなくてはいけません。したがって、英語長文のルールを知っておく必要があるのです。
そこでおすすめのテキストがこの『英作文ハイパートレーニング(自由英作文編)』。
学生に独占させるにはもったいないクオリティで、社会人にも人気の参考書。神器といってもいいくらいの素晴らしすぎるテキストです。
英語長文ライティングのルールを学び、さらにそれを身体に染み込ませることができます。
キレイな長文を書けなくても気にしないでください。実はTOEIC満点の人でも、このレベルの解答をすらすら書ける人はほぼいないです。
解答例を書き写すだけでも効果があります。この段階では、とにかく英文エッセイの型を体得することが重要です。
さらに上を目指す人は課題英作文を
『英作文ハイパートレーニング』の延長線上でおすすめなのが、『英検1級英作文問題完全制覇』(ジャパンタイムズ)。
おそらく国内の英作文テキストの最高峰です。公式から出ている『英検1級英作文問題』(旺文社)はやたら小難しい表現を多用していておすすめしにくいのですが、こっちはもっと実用的。
『英作文ハイパートレーニング』を終え、さらに力を伸ばしたいという人にオススメしたいシリーズです。
ただしここで注意点があって、ここから先のレベルに進む場合は、課題英作文のやり方を中心にしなくてはいけません。
このレベルだと、和文英訳とか模範解答の写経(書き写し)とかは効果がなくなってくるんですね。
与えられたテーマについて自分なりの英文を組み立てまくるという課題英作文的なトレーニングが必要です。
詳しいやり方は以下の記事を参考にしてください。
まとめ
以上、英作文のおすすめ参考書を紹介しました。最後に要点をまとめておきます。
・瞬間英作文シリーズで英語アウトプット回路を育てる(第1巻と第2巻だけでオーケー)
・『英作文基本300選』の英文を覚えて英借文の基礎を作る
・『例解 和文英訳教本』で短文の英作文をトレーニングする
・『英作文ハイパートレーニング』で長文の英作文をトレーニングする
・さらに上を目指す人は和文英訳や解答例の写経ではなく、課題英作文をこなしまくる
この手順で勉強していけば、効率的に英作文の能力が伸びていきます。