シャドーイング最強説『外国語を話せるようになるしくみ』【書評】

2020年10月24日

シャドーイングという外国語学習法があります。聞こえてきた音声をそっくりそのまま、ほぼ同時に繰り返すというもの。もとは通訳者が行っていたトレーニング法でした。

第二言語習得研究や脳科学の進展によって、このシャドーイングがいかに強力であるかが実証されつつある模様。

その研究成果をわかりやすく解説してくれる本が、門田修平『外国語を話せるようになるしくみ シャドーイングが言語習得を促進するメカニズム』(サイエンス・アイ新書)です。

新書形態で読みやすいです。ただ、内容はかなり高度。わりとがっつりした科学的な本という感じ。

とはいえ、そこらじゅうにキャッチーなイラストを散りばめるなど、読みやすくするための工夫が凝らされています。好印象。

シャドーイングは外国語力を総合的に底上げする

本書の内容で重要なのは、シャドーイングが次の4つの効果をもつと主張している点。

・インプット効果
・プラクティス効果
・アウトプット効果
・モニタリング効果

 

インプット効果とは文字通りインプット能力を伸ばすことで、具体的にはリスニングのことを言っています。シャドーイングにリスニング力アップ効果があるのはけっこう意外。ついでにリーディングの速度も向上するらしい。

プラクティス効果とはいわゆる自動化のこと。インプットした知識を、実践で使える技術に変えることです。日本人に足りていないやつ。

アウトプット効果とは文字通りアウトプットの能力伸ばすこと。シャドーイングによってスピーキングのレベルが向上します。

モニタリング効果とはフィードバックを得る力のこと。シャドーイングではフィードバックを得ることで調整を加えることが容易とされます。

 

要するに外国語学習の根っこにシャドーイングを置けるということですね。外国語技能のどれかを伸ばすのにシャドーイングが適してるとかの次元を超えて、総合的な能力の伸びに直結すると。

巻末では100万語シャドーイングが提唱されています。読んでるとかなりやる気が湧いてくる。

 

音読バージョンも出ています

本書の姉妹編として、音読の解説書も出ています。タイトルは『音読で外国語が話せるようになる科学』。これもサイエンス・アイ新書です。

こっちも購入して読みました。

やはり第二言語習得研究の最新知見を動員して、音読トレーニングの正しい方法を解説しています。

音読も英語力を総合的に伸ばすとのこと。シャドーイングとほぼ同一の効果があることが研究によって判明しています。

違うのはインプット効果で伸びる能力。シャドーイングはリスニング力が、音読はリーディング力がとくに伸びます。

衝撃的だったのは、音読にはモデルとなる音声が必要というところ。しかも音声を細かく区切って、ポーズ中に音読を差し挟むのが正解とのこと。

音声と同時に音読したのでは音声または文字のどちらかしかインプットできない(選択的注意と呼ばれる脳の機能のため)。

また、いっぺん文章全体を聞いてから音読にとりかかったのでは文章の音声情報が記憶から抜け落ちてしまう。

だから細かなチャンクごとに文章を区切り、そのたびごとにポーズを入れてそこで音読しなくてはいけない。

これがないと音読は効果を発揮しないとのこと。

 

自分が今までやってきた音読はなんだったのかという気になります。

しかも正直かなりめんどくさいよねこれは。モデル音声を用意して、いちいちそれをピッピピッピ止めながら音読しなくてはいけないとは…

今回の2冊を読んだあとだと、音読よりもシャドーイングのほうが楽だなと感じます。リーディング力なら多読で伸ばせばいいんですし。

これからはシャドーイングと多読を学習の中心にしていこうと思います。

英語学習

Posted by chaco