お金分野の入門にはこの本 両学長『お金の大学』【わかりやすい】
「税金ってどんな種類があって自分はどれを払えばいいの?節税ってどんな方法があって自分はどれを使えるの?保険ってどんな種類があってどれに入っておけばいいの?」
お金にまつわるこのような基礎的な疑問に答えられる人は多くないと思います(少なくとも僕には自信がない)。
日本って学校でお金についての教育をしてくれないんですよね。だからなんにもわからなくても自然です。
しかしそのままじゃ困るんで、なんとかお金の基礎知識を身につけたいところ。どうすればいいのか?
おすすめなのはまず『お金の大学』を読むこと。発売は2020年6月ですが、2021年後半になってもまだベストセラーにいます。
お金の不安から解放された経済的自由へと読者を案内する本。
そのノウハウを総合的に解説する過程で、保険、税金、節税、副業、投資などなど、お金まわりの基礎知識が身につきます。
著者は両学長というひと。
元々かなり有名な経営者だったみたいですが、今ではYoutubeの「リベラルアーツ大学」というチャンネルで有名です。ちなみに僕も2019年ごろに両学長のチャンネルをよく見ていました。
本書のメインテーマは経済的な自由。つまり資産所得が生活費を上回る状態です。ここまでくれば働かなくても暮らしていけますからね(別にこれほどの境地を目指すのでなくても本書はためになります)。
それを実現するためには、いかに生活費を減らし資産所得を増やすかを考える必要がある。
そのために本書が扱うテーマが次の5つです。
1. 貯める
2. 稼ぐ
3. 増やす
4. 守る
5. 使う
以下、この5つのパートの内容をざっと見ていきましょう。
ちなみに、個人的に両学長の動画でもっとも印象に残っているのが、動画の作り方を解説したやつ。Youtuberの大変さがわかります。
お金を貯める力
まずは「貯める力」についての解説からスタートします。
約260ページのうちこの章だけで約120ページと、分量的には本書のメイン。
なぜ貯める力が最優先されているかというと、その気さえあれば今すぐにでも実行して成果が出せるからです。副業や投資で稼ぐのは長期戦になりますが、本章の内容はすぐに効果が発動します。
本書でいう貯める力とは「生活の満足度を下げずに支出を減らす力」。生活の満足度を下げずに、というところが肝。
ポイントは次の2点。
・細かい支出よりも固定費をガバっと削減
・金額が大きな支出から見直す
具体的には次の内容が扱われます。
・通信費…スマホは格安SIMに変えよ
・光熱費…安い電力会社への乗り換えは実は超カンタン
・保険…基本的に社会保険でオーケー。それでカバーできないところだけ民間の保険を使う(生命保険、火災保険、自動車保険の3つだけ)。
・家…家は買わずに賃貸がおすすめ。
・車…車は維持費が高いので極力買わないこと。どうしても買うなら中古。
・税金…サラリーマンでも節税はできる。
節約術はもちろんのこと、保険や税金についてここまでわかりやすく教えてくれる本は少ないのですごく助かります。
しかも教科書っぽい概説ではなく、「これだけやっときゃいい」と断言してその根拠をわかりやすく解説してくれるのが最高。
お金を増やす力 おすすめの副業
さて次は「増やす力」の解説です。
本書がおすすめしているのは副業です(ただし公務員は副業が禁止されているので要注意)。
なぜ本業をがんばりまくるよりも副業に手を出すべきかというと、副業で稼いだお金は事業所得(給与所得ではなく)になり、節税につながるから。トータルの手取りがぜんぜん違ってくるんですね。
どうやったら会社にバレずに副業を始められるかも書かれています。ここのわかりやすさも異常。
なお学長がおすすめする副業は以下の通り。
・せどり(転売)
・プログラミング
・ウェブデザイン
・動画編集
・ハンドメイド
・アフィリエイトブログ
・Youtube
・デジタルコンテンツ(絵、写真、音楽など)の販売
ただ転売はPS5発売あたりから社会的な風当たりがきついので、色んな意味で注意したほうがいいと思う。
特別な才能がいらないのは動画編集でしょうかね。一番しんどいのはYoutubeだと思います。
逆にやっちゃいけない副業は以下の通り。
・アルバイト…これで増えるのは事業所得でなく給与所得であり、時間の切り売りでしかない給与所得では将来の資産性が生まれない。
・ネットワークビジネス…情報商材屋みたいなやつ。社会的信用がなくなるからダメ。
・副業としての投資…余ったお金でコツコツ投資するのが王道。副業でガッツリ投資に乗り出しても長期的に成功するのはごく一部の天才だけ。
・ノウハウも身につかず将来的に単価も上がらない仕事…クラウドソーシングで激安の仕事を引き受けてこき使われる、など。
お金を増やす力
次は稼いだお金を増やす力についての解説がきます。
本章のメインテーマは「投資」です。
本書で推奨される投資はコツコツ積み立てるタイプのもの。一攫千金を狙うみたいなのはNGです。
まず生活防衛資金と投資用の資金をわけるのが最重要。
生活防衛資金は会社員なら生活費6ヶ月分、フリーランスなら12ヶ月分。これだけの貯金がない人はまだ投資をしちゃダメということ。
利回りの目安は年5%。100万円が1年後に105万円になる計算ですね。これを大きく上回る投資商品は信用しちゃダメ(ちなみに世界一の投資家ウォーレン・バフェットの利回りは年22%)。
インデックスファンドに(ドルコスト平均法で)投資しておけばオーケー。アクティブファンドは避けるべし(手数料が高いだけ)。
他にも増配・高配当株への投資や不動産への投資が解説されています。ただし新築ワンルームマンションへの投資はやっちゃダメとのこと。この辺は敷居が高いので、まずはインデックスファンドだけ勉強すればいいです。
投資については本書だけでは心もとないので、もう1~2冊は入門書を読んでおいたほうがいいでしょう。
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お金を守る力
次はお金を守る力。せっかく貯めた資産を減らさないようにする技術のことをいいます。
これがないために転落していく人は非常に多いそう。
天敵は次の4つ。
・詐欺、ぼったくり
・浪費
・被災や盗難
・インフレ
これらから身を守るためには、個々が金融リテラシーを身につけることが重要です。本書が最初の1歩ということになるでしょう。
お金を使う力
晴れて経済的自由を達成。これでハッピーエンドかというと、そうでもないとのこと。
手に入れたお金と余った時間で何をすればいいんだろう?
自由、不安、退屈、暇、孤独…こうして経済的自由を達成したせいで逆に不幸になる人も多いと著者はいいます。
お金は単なる道具。その道具を使ってどのように幸福を実現するか?
これが最終章のテーマ「お金を使う力」です。
学長がおすすめしているお金の使い方は次の4つ。
・寄付・プレゼント(学長は動物愛護団体や孤児院に寄付しているそう)
・豊かな浪費(大好きな趣味に大金を投入)
・自己投資(新たな勉強を始める)
・時間を買う(家事代行サービスなど)
お金を貯める力、稼ぐ力、増やす力、守る力、使う力。以上の5つの力がバランスよく備わってこそ人生はスムーズにいく、と著者はいっています。
最後にお金を使う力の章を追加しているところに、学長の深さが垣間見れますよね。
以上、両学長『お金の大学』の解説でした。
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