『黄昏の岸 暁の天』魔性の子と対をなす名作【感想】

2021年7月18日

十二国記シリーズ第6巻、『黄昏の岸 暁の天』を7年ぶりに再読しました。

僕が読んだのは講談社文庫バージョンですが、今では新潮文庫から新しいバージョンが出ています。今から買うなら新しいバージョンで揃えたほうがいいと思います。

忘れているところが多かったですね。泰麒を救出するお話であること、目覚めた泰麒が「長い夢を見ていました」と発言すること、このへんは覚えていましたが。

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魔性の子と対をなす物語

この『黄昏の岸 暁の天』ですが、『魔性の子』の裏話となっています。

現代日本で高里がどえらい目にあっているとき、十二国の世界はどのように動いていたのか?それが明かされます。

7つの国が協力して泰麒の行方を探すのですが、そのついでに範国の王と麒麟を初登場させるのが見どころですね。陽子や延王も主役級で登場します。

先に『魔性の子』を読んでおくと、あのシーンはこういうことだったのかと、すべてつながってきます。先にここまで構想を練っていたのか、それとも『魔性の子』の各シーンを意味づけるために後から設定を当てはめたのか、気になるところです。

それにしても、必死に泰麒を探す廉麟が日本で幽霊扱いされているのだと思うと、可笑しい。

 

主人公は、あえていうなら李斎でしょうか。

本書を読むと、『風の海 迷宮の岸』における泰麒と李斎の出会いが、とても尊いことに思えてきます。まさしく運命的というか。

 

本書のラスト、泰麒と李斎は戴国に向けて飛び立ちます。とても心細いエンディング。続きはどうなるのか?

本書の途中、戴国の国宝についての言及があります。「それは麒麟にしか使えない」、と。おそらくこのアイテムを使う展開になるのだと、僕は予想しているのですが。

 

また使令が泰麒から切り離されてしまったことは覚えていましたが、今回再読してみると、汕子も傲濫も「清めておく」と言われただけで、もう二度と使えないとは言われていませんね。

ということは2体ともまた泰麒のもとへ戻るのではないか。使令たちの活躍も期待したいところです。とくに傲濫が暴れるシーンはぜったいに書かれるべき。

 

本書のエンディングから20年近く、読者は宙ぶらりんの状態を味わわされた模様。しかし2019年に出た最新刊『白銀の墟 玄の月』で、ついに戴国のその後が物語られるらしい。

読むのが楽しみです。と同時に、終わってしまうのが寂しくもありますね。

文学の本

Posted by chaco