知っておくだけで得する行動経済学の法則10選【悪用厳禁】

お金

行動経済学という新しい学問があります。ダニエル・カーネマンら心理学者が中心となり、心理学を経済学と融合させた学問です。

人間がいかに非合理的な存在か、そして経済学が前提としてきた合理的人間(ホモエコノミクス)がいかに現実とかけ離れた存在であるかを、巧妙な実験を通して明らかにしています。

行動経済学が明らかにする人間の脳みその性格は、だれにとっても興味深いものです。だれもが、非合理的な認識や判断と無縁でいることなどできないのですから。他人事ではすまされないわけですね。

言い換えれば、だれもが行動経済学から恩恵を受けられるということ。行動経済学が明らかにする法則を知っておくだけで、人間が陥りがちなトラップを回避できるからです。

あるいは他人の脳みそをトラップにはめることで、そこから利益を得ることも可能になります(悪用は厳禁ですが)。

この記事では、行動経済学が明らかにした代表的な法則を10個紹介します。

 

ピークエンドの法則

人間の記憶は過去の出来事をそっくりそのまま再現できません。記憶というものはかならず捏造された部分をもっているのです。では、どのように捏造されるのか?

それを明らかにしたのがこのピークエンドの法則。過去のある出来事を評価するとき、人間は出来事のピーク時と終末部分の印象を過大に評価します。この2つの部分がすばらしければプラスの印象、ダメならマイナスの印象になるということ。

これは作品作りにも活かせますね。要するに、山場とエンディングだけフルパワーで作り込んでおけば、そうそう批判はされないというわけです。

 

コンコルドの誤謬

高いお金を出してゲームソフトを買ったとしましょう。でもそれが期待ハズレでぜんぜん面白くなかった。さてどうするべきか?

合理的に考えれば、そのゲームをやめて別の楽しいことに時間を使うべきです。しかし人間はなかなかそういうふうに行動できませんよね。払ってしまったお金のぶんを取り戻そうとして、意地でもそのゲームをやり続けます。

このように、過去の誤った投資への未練を断ち切れず、将来に関して有益な行動を取れなくなることをコンコルドの誤謬といいます。経済学では「サンクコストの罠」とも呼ばれますね。

いくら過去の投資を正当化しようとしても、払ってしまったコストは戻ってこないところがポイント。しかも、そうしている間に、将来得られたはずの利益を逃しているのです。

 

小数の法則

次は小数の法則ですが、これを理解するためにはまず大数の法則を知っておく必要があります。

大数の法則とは、試行回数が無限に近づくほど結果が平均に近づくことをいいます。たとえばコインを無限に近い回数だけ投げたとき、表と裏が出る確率はそれぞれどうなるか?もちろん50パーセントずつですね。

小数の法則とは、試行回数が少ない行動に対しても大数の法則が当てはまると錯覚してしまうトラップのことをいいます。たとえばコインを投げたとき、2回続けて裏が出た。次は表と裏のどっちが出るか?

人間の直感は「なんか次こそ表が出そう」と感じます。しかしそれは錯覚。3回目に表と裏が出る確率は、それぞれ50パーセントなのです。3回続けて裏が出てもなんらおかしくありません。

 

仮想通貨

アンカリング効果

最初に目撃した数字や言葉の印象が、その後の判断に影響を及ぼしてしまうこと。これをアンカリング効果といいます。これは本当に、想像以上の力で人間を呪縛しますよ。

たとえば「日本人の何割が左利きでしょう?」という質問があったとします。そして回答者は質問に答えるまえに、1から100までの数が出るルーレットを振る。ルーレットを振ることにはなんの意味もありませんよ。ただ単にルーレットを振ってから質問に答えるだけです。さてどうなるか?

実は、ルーレットの結果が質問の回答に影響を与えるのです。ルーレットで大きな数が出た人ほど、日本人の左利きの割合を多めに見積もる。逆にルーレットで小さな数が出るほど、左利きの日本人の割合を少なめに見積もるのです。

この心理学の実験では、質問内容とまったく関係のない数字ですら、その後の判断に影響を与えています。これがアンカリング効果のおそろしさです。

 

バーナム効果

なぜ占いは当たるのでしょうか?それを明らかにするのがこのバーナム効果です。

だれにでも当てはまるようなフワフワした一般的な描写を、自分だけにとくに当てはまると受け止める傾向が人間の脳にはあるのです。これがバーナム効果、別名フォアラー効果であり、占いが廃れずに人気を保ち続ける理由です。

もっとも、すべての占いにこれが当てはまるかはわかりませんが。なかには錯覚を超えた神通力を発揮するものもあるかもしれません。

 

ハロー効果

次はハロー効果。ハローといってもあいさつのハロー(hello)ではなく、天使の輪っか(halo)のことです。

とある対象を評価するときに、その対象がもつ目立った特徴にひっぱられて、対象の全体像を歪んだ形で捉えてしまうトラップのことをいいます。

たとえば優れた業績を残した学者や経営者が、人格的にも優れてみえたりとかですね。この場合は業績の放つ後光が、その他の要素までも輝かせているわけです。これをハロー効果と呼びます。

 

考えるフクロウ

順序効果

人間はまったくの他人に対しても、部分的な情報をつなぎ合わせて全体的な人物像を作り上げてしまいます。

たとえばある人物についての情報を順番に与えて、人物像をイメージするとしましょう。最初は写真、次にプロフィール、最後に趣味というふうに。

さて、これらの情報を与える順番を変えてみたらどうなるでしょうか?今度は趣味から明らかにし、次にプロフィールと写真を見せるのです。なにが起こるか?

実は、情報の順番を変えるだけでイメージされる人物像はまったく変わってきます。情報の中身はまったく同じだというのに。これを順序効果と呼びます。

 

保有効果

不要なものを捨てるのってなかなか難しいですよね。「いつか使うかもしれない」とか「せっかくお金を出して買ったのだから」とか思えてきて、思い切って捨てることができない。

実は、人間はすでに所有しているモノを過大評価する傾向にあるのです。これを保有効果といいます。モノを捨てるのが難しい原因はこのトラップにあります。

ちなみに『エッセンシャル思考』のグレッグ・マキューンによると、不要なモノを捨てるコツは「自分がこれを所有していないとして、また同じだけの金額を出して買うだろうか?」と自分に問いかけることだと言います。この問いかけにノーと答えるのなら、その所有物は捨ててしまってもいいというわけです。

 

現状維持バイアス

いったん悪い習慣に陥ると、なかなかそこから抜け出すのは難しいですよね。抜け出したあとから振り返ると、なぜ自分はあんな状態で平気そうにしていられたのかと、すごく不思議な気分になるほどです。

実は人間には、現状の状態を過大評価する傾向があります。たとえストレスフルな状況であったとしても、それを変えることはなんだか面倒くさいし、嫌なものなのです。

これを現状維持バイアスと呼びます。

 

損失回避の原則

1万円を手に入れる嬉しさと、1万円を失う苦痛、どちらの感情のほうが大きいでしょうか?ほとんどの人が、1万円を失う苦痛のほうが大きいと答えます。

人間は利益よりも損失のほうに敏感なのです。ある額の利益から受ける満足よりも、同じ額の損失から受ける苦痛のほうが大きくなるということ。

これを損失回避の原則と呼びます。アリストテレスは「幸福とは快楽があることではなく苦痛がないことだ」と言いましたが、この言葉は人間の損失回避性を言い当てています。

 

行動経済学のおすすめテキストはこれ

この記事ではマッテオ・モッテルリーニの『世界は感情で動く』を参考文献として使用しています。

この分野にはめずらしくコンパクトに要点がまとまった良書なので、行動経済学に興味がある人におすすめです。

雑記

Posted by chaco