『世界は感情で動く』カーネマンよりわかりやすい行動経済学の本【書評】

2021年1月29日

行動経済学の本ってやたら冗長なものが多いですよね。実験例がやたら具体的に、しかもだらだらと詳述され、結局なにが言いたいのかわからないみたいな。

たとえば行動経済学のバイブルとされるダニエル・カーネマンの『ファスト&スロー』もその例にもれません。というかカーネマンのあの本こそこの潮流を生み出した存在なのかも。

もっとこう要点をパッとつかめるような本はないものか?

そこで探り当てたのがこの本。マッテオ・モッテルリーニの『世界は感情で動く 行動経済学からみる脳のトラップ』です。


 

カーネマンより読みやすい

これの前著にあたる『経済は感情で動く』のほうがよく売れたようですが、色々レビューを調べてみると、本書のほうが要点をよくまとめてあるらしい。ということで、いきなりこっちを読みました。

たしかにコンパクトにまとまっていて読みやすいです。

行動経済学ないし心理学のキーワード(現状維持バイアスだとかハロー効果だとか)をまず提示し、それらの意味を簡単な実験例とともに5~10ページくらいのまとまりで解説していく。

全部で39個のトピックが扱われます。

実験例を読むのはやはりめんどくさいですが、やたら具体的な話ばかりだらだら続いて話の核心が見えてこない本に比べると、比較にならないほど読みやすい。

カーネマンとかの本を読んであまりの冗長さに嫌気がさした人でも、本書なら読みすすめられるんじゃないかと思います。

 

訳文は読みづらい

ただ本書にも欠点はあって、それが文章の読みづらさですね。元の文章が明快さに欠けるのか、それとも翻訳がいまいちなのか、本書を読んだだけでは判断できませんが、読みやすい文章でないことはたしか。

どう頭を絞っても意味を読み取れない箇所が、けっこうあります。

まあでも短所はそのくらいですかね。行動経済学や心理学に興味のあるひとなら、楽しく読める本には違いないです。

経済寄りの関心が強い人は姉妹編の『経済は感情で動く』も楽しめると思います。