語学には王道しか無し『科学的に正しい英語勉強法』【書評】
メンタリストDaiGoの『科学的に正しい英語勉強法』(DHC)を読みました。
心理学や脳科学の専門文献から最新のデータを引っ張ってきて、従来の常識とは異なる英語勉強法を打ち出す本です。
専門文献の出典が明記してあるため、第三者でもリソースに直接アクセスできるようになるところが嬉しい。ぼくはDaigo氏の本を読むのはこれで2冊目ですが、彼の長所はここですね。
内容に関していえば、まあ学問には王道しかないという感じ。結局、楽はできないんだなと。負荷の高い努力が報われるということを、科学的に裏付けています。逆に負荷の低い努力はあまり報われないということも。
勉強が嫌いな人が読んだら絶望するかもしれないですね。学習がわりと好きな僕でさえ、ちょっとうんざりしましたから。
すでに向上心のある人の背中をさらに押すタイプの本だと言えるでしょう。
日本の英語教育5つのまちがい
DaiGo氏は日本の英語学習の間違いを5つ挙げています。かなり興味深い内容。
①英語は若いうちに勉強したほうがいい(学習を開始する年齢は関係ない)
②英語の知識は学校英語で十分(実は知識の量が足りてない)
③くりかえし復習することで力がつく(忘れる前に復習してはいけない)
④英文法をまずマスターすべき(文法を必死に覚える必要はない)
⑤毎日コツコツ勉強することが大事(語学は短期集中学習が効率的)
①の「学習を開始する年齢は関係ない」には励まされますね。これはやる気が湧いてきます。
②の「学校英語だけでは知識が足りない」と④の「英文法を必死に覚える必要なない」は僕が以前から言ってることと一致しますね。
学校の授業だけではとくに英単語の知識が不足してしまいます。またアウトプット系の技能も絶望的に不足しますね。
④に関しては但し書きが必要で、初歩的な英文法は最初にマスターしておくべきです。つまり英文法に関しては学校で教わる程度で十分ということ。
③の「忘れる前に復習してはいけない」がきついですね。「忘れたもので思い出そうとする努力の過程で知識は身につく、だから忘れてから復習すべき」というロジックなのですが、これはきつい。挫折への道が舗装されつつあるのを感じます。
よっぽど馬力のある人以外は真似しないほうがいいんじゃないかと思う。勉強自体が嫌いになってしまうリスクが高いと思われます。
意外だったのは⑤の「語学は短期集中で学習すべき」というもの。
語学の達人は毎日コツコツ派が多いイメージなんですよね。たとえば千野栄一の『外国語上達法』(岩波新書)やロンブ・カトー『わたしの外国語学習法』(ちくま学芸文庫)で言われているように。
これもモチベーションに関わる話かもしれません。「短期集中のほうが効果はあるけど、現実的にそれじゃきつくて嫌になるから、少しずつでもコツコツ毎日勉強したほうがいいよ」と言っているのかも。
短期集中でいけというアドバイスも、ごく少数の人にしか合わないんじゃないかと思う。ここでもまた、挫折への道が舗装されるのを感じます。勉強が嫌になるくらいなら、少しずつコツコツ続けるほうがいいと思います。
少なくとも僕は「短期集中でめちゃくちゃ頑張れ」と言われたら、勉強自体が嫌になって何もしなくなると思いますね。したがって、コツコツ派でこれからもやっていくつもりです。