語学で生計を立てるには『語学で身を立てる』【書評】

2021年2月8日

猪浦道夫の『語学で身を立てる』(集英社新書)を読みました。

文字通り、将来語学を武器に生活していきたい人へのアドバイスが詰まった本です。

対象となるのはとくに翻訳者、通訳者、そして語学教師志望の人でしょうか。

 

全体をざっくりと見渡すと以下のような内容が書かれています。

・語学スペシャリストには3つのタイプがある
・語学のプロになるための資質とは
・キャリアアップ戦略
・英語の勉強法
・専門家になるためのトレーニング
・翻訳市場は今どうなっているか
・プロモーション戦略
・プロの実話紹介

新書ということもありざっくりした解説に終始していますが、とても役に立つ内容。勉強法の章は実践に活かせるヒントが満載です。

2003年の本ですが、いまだに読まれているのも納得。

 

英語以外の外国語も学習すべき理由

著者は「英語で身を立てる場合でも第3外国語を学習すべきだ」と言っています。この話がとても興味深い。

なぜ第3外国語も学習すべきなのか?

まず前提として、英語という言語はかなり特殊なんですよね。さまざまな民族がブリテン島に結集した結果、言語は伝わりやすさを求めて簡略化されていった。その結果、たとえばヨーロッパ大陸の言語と比べてみても語形変化などに乏しい簡素な言語になっています。

するとどうなるか?

英語の使い手は、文法構造やロジックを深く考えない傾向が出てくるのです。どの単語がどの単語を修飾しているのかとか、そういうことをきっちり厳密に考えない。なんとなくフィーリングで理解する態度が強くなります。

実際、ごく一部のトップクラスを例外として、英語専門の翻訳者は読解や解釈がいい加減な傾向にあると著者はいいます。

このいい加減さから抜け出すために、厳格なルールをもつ他の言語(たとえばドイツ語など)を学習するべきだと著者は言っているわけですね。

ただし第3外国語をマスターする必要はなくて、ただかじってみるだけでも効果はあるらしい。

ぼくはドイツ語と中国語をかじったことがあるので、ギリギリセーフといえるでしょうか。

 

日本人からすると英語は「論理的な言語」で、「外国語のなかの外国語」みたいなイメージがありますよね。

ですから、実は英語はあいまいな言語で、外国語のなかでも変わってると聞かされると、かなりのインパクトがあります。

 

市場の概観についてはアップデートが必要かも

『語学で身を立てる』は2003年の本なので、情報が古い部分もあります。たとえば翻訳市場の状況を概観するパートなどがそうですね。

最近はとくに変化が激しいですからね。クラウドワーキングの普及で新しい働き方が出てきたり、あるいは人工知能の急速な発達で語学にまつわる仕事の未来そのものが危ぶまれたり。

その辺の情報を入手するのなら、最近の本に当たる必要が出てきます。

翻訳分野でおすすめなのは実川元子の『翻訳というおしごと』(アルク)。2016年に出た本で、非常に評価が高いです。

 

同じシリーズで通訳版も出ています。島崎秀定の『通訳ガイドというおしごと』。これも2016年に出た本です。

英語学習

Posted by chaco