「ヨハネ黙示録」西洋の歴史観を決定づけた文書【感想】

2020年10月24日キリスト教

新約聖書の「ヨハネの黙示録」を読みました。

バージョンは新共同訳。だいぶ前に購入したものの、読む気がせずにずっと積ん読しておいたものです。

一番最後に収録されているヨハネ黙示録から読み始めるという荒業。

 

現代でもさまざまな作品がこの文章から影響をうけていますね。

たとえばフィリパ・ピアスの名作『トムは真夜中の庭で』に出てくるキーワード「もはや時間がない」は、このヨハネ黙示録から取られたものです。

他にもたとえば「666」だとか「アルファにしてオメガ」だとか、音楽やマンガなどに登場するフレーズが実はヨハネ黙示録のものだったというケースが多々あります。

 

ヨハネ黙示録の千年王国思想

岡田英弘の『世界史の誕生』(ちくま文庫)に書いてあったのですが、ヨハネ黙示録は西洋の歴史観を決定づけた二つの文書のうちの一つらしい(もうひとつは歴史の父ヘロドトスの『ヒストリアイ』)。

ヨハネ黙示録のなにがそんなに大きな影響力をもったのかというと、いわゆる千年王国思想がそれです。

イエスが復活して千年のあいだ地上を支配し、その後に世界は消滅するという話。このロジックが後の思想を支配します。

たとえば近代哲学の代表者ヘーゲルの歴史観にはこのロジックが影を落としていますし、そのヘーゲルを転倒したかたちで受け継いだマルクスにも同じ特徴がみられます。

マルクスの信徒たちが作った共産主義国家は、そのコアにヨハネ黙示録があるといっても過言ではないでしょう。

 

ペルシアの影響を受けたヨハネ黙示録

このヨハネ黙示録が書かれたのは、ローマ皇帝ドミティアヌスの頃です。

その直前にはユダヤ人によるローマ帝国への反乱が鎮圧され、ヤハウェの神殿がローマ軍によって破壊されています。

つまり、ローマ帝国への敵意が最大限にまで高まった時期に、このヨハネ黙示録は書かれているわけですね。やたら戦闘的な趣があるのはそのためでしょう。

 

また善の神と悪の神の対決という二元論が前編を支配しているのも特徴。聖書のなかでもかなり浮いていますよね。

これはペルシアの影響です。

ペルシアといえばゾロアスター教で、ゾロアスター教といえば二元論的な宗教の総本山です。

このペルシア文明から影響を受けた結果、ヨハネ黙示録は二元論的な性格の強い文章になっています。

いかにユダヤ人がペルシアから強い影響を受けていたかがわかりますね。