『超文章法』文章はメッセージで8割決まる【書評】

2021年2月8日野口悠紀雄

野口悠紀雄の『超文章法』(中公新書)を読みました。

この人は『超整理法』とか『超勉強法』とかのベストセラーでも有名な、一流のエコノミスト。

彼が文章術について語る本が『超文章法』です。

実務的な文章のための至難書です。しかし意外と文学的な彩りがあって、読み物としておもしろい。

そこかしこで文学的な教養が披露されます。

野口悠紀雄といえばお堅い経済学者のイメージがあったので、高度な文学趣味を持ち合わせていたのは意外でしたね。

たとえば巻末のブックリストにもそれが現れています。必読本として挙げられるのはたったの2冊で、その片方がスティーブン・キングの『書くことについて』なのです。この選出はおもしろい。

これはキングが小説を書く技術について語った本で、基本的には文学者志望の人に向けた本ですからね。

ちなみにもう一冊は木下是雄の『理科系の作文技術』。こっちはもろにイメージ通りですね。

 

本書の特徴は「メッセージ」の重要性を説くところ。主眼とか切り口とか言い換えてもいいですね。

このメッセージの良し悪しで、文章のできは8割がた決まってしまうと著者はいいます。

今でこそ似たような論調のライティング本は多いですが、本書が出た時点ではめずらしい立場だったと思います。

 

書き始めればなんとかなる

もうひとつ印象的なのが最後の章。ここで著者は、はじめることの重要性を説いています。

はじめてしまえば、なんとかなる。作業に現役でいれば、脳がバックグラウンドで勝手に作業をしてくれるからです。

たとえば普段ならスルーしていたような情報から、作業に関連する情報を脳が勝手に抜き出してきたりとか。

言い換えると、これは締め切り直前まで仕事をしないのが非効率だということを意味しますね。

その場合、脳の自動処理による恩恵を受けられなくなるわけですから。

これは経験的にも納得できますね。最初の一歩さえ踏み出してしまえば、後は意外となんとかなったりする。まあ仕事にせよ勉強にせよ、その最初の一歩のハードルが怖ろしく高いのですが…