読書欲が湧いてくる本『ぼくらの頭脳の鍛え方 必読の教養書400冊』

2020年10月24日

ブックガイドに求められるのは、読者をモチベートする力です。良書をなるべくたくさん紹介することも必要ですが、それ以上に、ブックガイドを読んだ読者が知識欲に目覚めることが重要。

佐藤優と立花隆が対談を交わしながら必読書を挙げていくこの『ぼくらの頭脳の鍛え方 必読の教養書400冊』には、その力があります。

とくに佐藤優には人をモチベートする才能がありますね。僕は佐藤の本が好きでよく読むのですが、彼の長所は2つあって、ひとつは情報量の多さ、そしてもう一つが読者をモチベートする力です(逆に短所は理論の応用)。

佐藤の異常な博識ぶりと知識欲に煽られて、こっちも勉強したくなってくる。これが彼のカリスマ的人気の秘訣でしょう。

ですから、やる気のなくなった時には佐藤の本を読むと効果てきめん。ちなみにいちばんのおすすめは『獄中記』(岩波現代文庫)です。

 

古典を読む必要があるか?

立花隆は古典をすすめない方針をとっています。古典を読むぐらいなら、その時間とエネルギーで最先端のテクノロジーを学んだほうがいいという態度。

逆に佐藤優は古典を多く取り上げる。古典から得た知識は社会を読み解く参照枠として機能し、宗教や政治などの劇薬にだまされずにすむようになる、というのがその理由。

教養というものを立花は単に知のプラットフォームとして捉えるのみですが、佐藤はより強力な役割を期待しているのですね。

 

本書で紹介されている本をすべて読む必要はない

この『ぼくらの頭脳の鍛え方 必読の教養書400冊』、実際に取り上げられている本はけっこう微妙だと思います。

佐藤は無駄に高度ですし、立花は決め方が適当すぎ。すすめられている本を律儀に買って読んでいっても、時間とエネルギーが無駄になるだけだと思う。

本書の長所はあくまでも読者をモチベートする点にある。その意味でのみ良書です。