投資は勝者のゲームから敗者のゲームに変貌『敗者のゲーム』【書評】

2021年2月4日

チャールズ・エリスの『敗者のゲーム』を読みました。

インデックス投資のバイブルとされている本で、アメリカでは累計100万冊以上が売れています。

今回読んだのは原著第6版の日本語訳。

本書のメッセージは、「投資が勝者のゲームから敗者のゲームに変化した今、インデックス投資こそが王道だ」というものです。どういうことでしょうか?

勝者のゲームと敗者のゲーム

チャールズ・エリスのいう勝者のゲームとは、勝者が勝敗の原因となるゲームのことです。

めちゃくちゃ華麗なスーパープレイを繰り出す天才プレイヤーを想像してください。彼の美技によって相手はなすすべもなく完敗する。これが勝者のゲームです。

逆に敗者のゲームは、敗者が勝敗の原因になるゲームのことです。

あるプレイヤーが致命的なミスを犯し、ゲームから勝手に退出していく。残ったほうは自動的に勝者になる。これが敗者のゲームです。

投資は勝者のゲームから敗者のゲームに変化した

チャールズ・エリスによると、過去数十年間の変化で、投資の世界は勝者のゲームから敗者のゲームに変化しました。

その原因は、市場参加者がだれなのかという点に求められます。

1960年代においては、市場参加者の9割が個人投資家でした。いってみればアマチュアばかりだったのです。

このような市場では、一握りのプロが圧倒的な成績を上げることもできました。高度な情報収集と分析を駆使して、アマチュアを蹂躙できるからです。これはまさに勝者のゲームです。

しかし今や状況は一変しています。市場参加者のほとんどが機関投資家だからです。

機関投資家とは要するに投資のプロ。無数の会社や人間から莫大な資金を集め、高速な情報収集そして高度な分析で運用を行っているエリート集団です。

そういう連中が市場の大半を占めるようになるとどうなるか?

実力は拮抗し、派手なプレイで圧倒的勝利をおさめることができなくなります。ましてアマチュアの個人投資家が長期的に市場平均を上回ることなどほぼ不可能。

こうして勝者のゲームは過去のものになり、投資は敗者のゲームへと変貌を遂げたたエリスはいうのです。

インデックス投資のすすめ

この状況でチャールズ・エリスがすすめるのがインデックス投資です。

インデックス投資とは、市場平均に賭ける投資のこと。市場を構成するすべての銘柄を購入することで、市場そのものがもたらすリターンを手にいれるわけです。

インデックス投資の場合、市場を上回るリターンが期待できない代わりに、市場を下回ることもありません。長期的にはある程度のリターンが約束されているわけです(核戦争や隕石衝突などで市場そのものが崩壊すれば話は別ですが)。

逆に、自分で投資対象を考えるアクティブファンドの大半は長期的には市場平均に勝てません。

また市場平均を買うということは、プロのオールスターに頼ることでもあります。

今や市場は大半が機関投資家なのでした。ということは、市場そのものを買えば、プロの判断を平均したものがそっくりそのまま手にはいるということでもあります。プロのオールスターチームを雇うことと同じなのです。

これがインデックス投資が推奨される理由です。

ちなみに今回読んだのは原著第6版です。

巻末には推薦図書が10冊紹介されていて、これが非常に役に立つ。これを参照するためだけでも、最新版を購入する価値はあると思います。

ただしインデックス投資入門に読むのなら、本書よりもバートン・マルキールの『ウォール街のランダム・ウォーカー』のほうが読みやすいです。

量的緩和バブルにおける異常な市場

チャールズ・エリスは以上のように、市場が機関投資家だらけになることで投資が敗者のゲームに変化したと述べたのですが、最近は様相が違っています。

常識はずれの量的緩和によって溢れかえったマネーを個人投資家が運用し、機関投資家を翻弄しているのです。

コロナ危機以前から見られた動きですが、これがコロナ危機後はさらに顕著になりました。

これは一時的な変調にすぎないのでしょうか?この流れが終わるとして、どのようなクラッシュの仕方をするのか?

予断を許さないものがありそうですね。