要は多読のすすめ『読んでいない本について堂々と語る方法』【書評】

2020年3月1日

『読んでいない本について堂々と語る方法』(ちくま学芸文庫)を読みました。

この本、いきなりオスカー・ワイルドから次のような文章が引用されます。

私は批評しないといけない本は読まないことにしている。読んだら影響を受けてしまうからだ

つかみは完璧という感じ。

 

全体像を把握せよ

さて本書で著者が強調するのは、全体像を把握することの大切さです。

著者にとって教養とは、ある文化が誇る重要書が織りなすネットワークの全体を把握していることをいいます。

個々の本を読んだかどうかはあまり大したことではありません。

 

これは個々の本についても同じことが当てはまります。

本の全体像をつかむことが何よりも大切なのであり、かならずしも個々の章をすべて読む必要はないのです。

 

そして読んでいない本について語ることができるのは、ある本と他の本との関係性を知っているからこそできる業です。

重要書が織りなすネットワークの全体を把握できていれば、そのなかに収まる個々の本について、たとえ読んだことがなくても語れるというわけです。

 

要するにこの本は多読のすすめなのですね。色んな本を読んで知識のネットワークを構築しておけば、読んでいない本についてもある程度の類推ができるようになる。

読んでいない本について堂々と論じるためには、様々な本を読んで教養を身につけておけ、というわけです。


 

具体的な方法は書かれてない

この『読んでいない本について堂々と語る方法』、このようにテーマ設定は魅力的なのですが、残念なことに具体的な方法論についてはほとんど触れられていません。

読んでいない本について語る方法がそろそろ登場するだろうと期待して読み進めたのですが、話は精神論に終始し、ふわふわした展開のまま本が終わります。

 

具体的な読書術を求める人には、アドラー&ドーレンの『本を読む本』(講談社学術文庫)のほうがおすすめです。


読書のレベルを4つにわけ、それぞれのレベルごとに具体的な読書術を教えてくれる名著です。

読書の初心者はもちろんのこと、中級者や上級者が読んでも学ぶものは多いですよ。