長い文章を書くのが苦手なら『3行しか書けない人のための文章教室』【書評】

2021年9月30日

『3行しか書けない人のための文章教室』。「いかに文章を膨らませるか」に焦点をあてた文章論です。あまり期待せずに読んでみたところ、これが相当な良書。

タイトルだけみると超初心者向けの軽い読み物に思えるかもしれませんが、実際にはさにあらず。読者ターゲットはもっと幅広いです。

「文章を膨らませるのが苦手」という悩みをもつ人は多いですから、中級者や上級者が読んでも得るものはあると思います。

 

文章を膨らませるテクニック

この『3行しか書けない人のための文章教室』、著者による実践例が豊富で役に立ちます(書き直した文章が上手すぎるところはちょっと笑えますが)。

たとえばたった20文字しかなかった文章を、本書が推奨するテクニックを使って200文字を超える文章に膨らませたりとかですね。非常に参考になる。

 

文章を膨らませるための具体的なテクニックとして、以下のようなものが紹介されます。

・5W1Hの観点から文章を見直す
・とくにWhy(なぜ)の問いかけを自分の文章にぶつけていく
・データや数字を取り入れる
・抽象的なことばの代わりに具体的なエピソードを書く

個人的には、5W1HのWhy(なぜ)に着目して文章に新しい要素をどんどん付け加えていくというのは目からウロコでした。

レポートとかブログとかであれこれ小細工を弄してなんとか1000文字、2000文字を達成するみたいなシーンは誰しも経験するところですが、本作のアドバイスにしたがうと、もっとガッツリ一気に量を増やせるようになります。

 

また書き出し上達のためのトレーニングとして、好きな本の冒頭3行だけを書き写すという方法が紹介されていて、これも有益。

これは非常に効果的な日本語トレーニングになりそう。しかも楽だから続けやすい。ついでに言っておくと、最後の3行を書き写すのも有益なライティング訓練になると思います。

それで思い出しましたが、板坂元が名著『考える技術・書く技術』(講談社現代新書)で似たようなことを書いていました。板坂によると、本のはじめと終わりだけを精読するのがよいトレーニングになるとのことです。

これは外国語の学習にも使えそう。洋書の最初のページと最後のページだけを書き写せば、英作文のトレーニングにもなるし、作家がどのように書き始めと書き終わりを工夫しているのかもわかって、ライティング力が上がると思います。

なおライティングのおすすめ本についてはこの記事↑にまとめてあるので、参考にしてみてください。