FTAやTPPは自由貿易ではなくブロック経済『世界経済入門』【書評】

2020年10月24日野口悠紀雄

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野口悠紀雄の『世界経済入門』を読みました。

いちばん勉強になったのは、FTAやTPPが貿易自由化のための協定ではなく、ブロック化のための協定であることを解説した部分。

FTAは自由貿易協定と呼ばれます。これだけ聞くと、自由貿易を推進する協定であるかのような印象を受けませんか?僕はそう思っていました。

しかしそれは錯覚であり、経済学的にみればFTAは関税同盟にほかなりません。

関税同盟とは、いくつかの国が集まり、そのグループの中に限って関税を引き下げたり撤廃したりする試みです。

ここで重要なのは、関税同盟はグループの外の国に対しては高い障壁を作るという点。グループの外にいる国との貿易は、むしろ減少するわけです。

この点で関税同盟は自由貿易とは真逆の性質をもっています。FTAは関税同盟ですから、自由貿易とは逆の、ブロック化を目指す協定なのです。

 

これはTPPにも当てはまります。

TPPは環太平洋パートナーシップ協定のことをいい、アメリカや日本が中心になって進めていた協定です。

野口悠紀雄はTPPに反対しています。その理由は、TPPが中国を排除するために策定されたブロック化協定だからです。TPPはもともと政治的な意味合いの強い協定で、中国の太平洋進出に歯止めをかける意図があります。

これがなぜまずいかというと、日本の最大の貿易相手国が中国だからです。中国のいないブロックに閉じ込められ、中国との貿易が阻害されるようなことになれば、日本の経済には深刻な打撃となってしまうわけですね。