村上春樹いわく、翻訳は遊び

2021年1月29日

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村上春樹&柴田元幸の『翻訳夜話』を読みました。小説家の村上春樹と翻訳者の柴田元幸が翻訳をめぐっておこなった対談を、3本収録した新書です。

本書にはレイモンド・カーヴァーとポール・オースターの同一文章を、ふたりがそれぞれ別に訳したコーナーも記載されています。ふたりの翻訳のちがいを発見できるわけですね。

村上春樹は実は優秀な翻訳者でもあり、アメリカの小説をいくつも訳しています。いちばん有名なのはレイモンド・チャンドラーの『ロング・グッドバイ』ですかね。

翻訳は遊び

柴田元幸によると、翻訳は仕事というよりも遊びに近い感覚だそうです。村上春樹もそれに同意しています。小説をずっと書いていると疲れる。翻訳をやることで癒されるのだ、と。翻訳なら1日中ずっと続けていられるらしいです。

これを聞いて、僕は自分に翻訳の才能がないことを悟りましたね。僕は産業翻訳をやっていたこともあるのですが、はっきりいって翻訳は地獄の作業だと感じます。村上春樹も認めるように、好きじゃなきゃやってられない作業だと思います。

翻訳は語学力よりも作品への愛情が大事

村上春樹にいわせると、翻訳者になるには作品自体への愛情がなによりも重要とのことです。語学力に多少問題があっても、小説が好きという人のほうが後からグンと伸びるといいます。

村上春樹は次のように言います。

「英語がある程度できて、翻訳をやってみたいんですけど、何をどうやればいいんでしょう?」というような人がいると、僕としてはいちばん困っちゃうんですよね。(p.57)

まさに僕に当てはまる(震え)。これは本当によくわかります。同じような経験をした人はけっこう多いんじゃないでしょうか?

とにかく翻訳というのはちょっとやそっと英語ができるくらいでどうにかなる世界ではありません。ちょっとやそっとどころか、達人レベルの英語力があっても、翻訳に向いているかどうかは別問題でしょう。

翻訳者を目指す人にとって本書は必読。自分が翻訳に向いているか否かを知るための、試金石となるでしょう。

 

文学の本

Posted by chaco